「農民」記事データベース20041129-662-10

旬の味


 正倉院展で宝物を見た。当時すでにあのレベルの美術・工芸作品があったことを思うと、人間は案外進歩していないのかと思う▼科学技術が進歩したといってもそれは思い上がりではないか。なぜなら、その科学を使って人を殺し、地球という環境を壊している。孫悟空が暴れ回っても、しょせん仏の手の上だった▼自然を征服する、自然と調和する、自然を生かして…など、違いはあるがどれもごう慢な言葉だ。自然に「生かしてもらっている」のに。少しばかりいい作物を多収して威張れるか? みんな、お天道様と大地のおかげではないか。まして水耕栽培みたいなことをやって近代的だなんて…▼「憲法を守るという前に憲法に守られている。その憲法が壊されていいか」という「無言館」の窪島誠一郎さんの言葉に共感を覚える▼そういえば、深まる紅葉も自然が作る偉大な芸術作品ではないか。そして大地に作らせてもらっている安全な新鮮な農産物も▼『怒りの大地』。中越地震にそんなことを思う。

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(新聞「農民」2004.11.29付)
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2004年11月

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