わしらの手で配りゃあ、喜ばれる、対話もできる
新聞「農民」過去最高に 鹿児島県農民連
関連/米国産牛肉の輸入禁止の継続を
地域農業の振興と組織作りで奮闘している鹿児島県農民連は、継続的な取り組みで新聞「農民」を過去最高の部数に伸ばしています。来年一月の農民連全国大会までに新聞を一二〇%に増やす目標を決めています。
地域農業振興にもっと力入れ
情勢に負けない農民連に
地域のつながり生かしながら…
この運動の先頭にたっているのが、桜島の東側、大隅半島のほぼ真ん中にある、きもつき吾平町農民組合の真戸原勲さん(80)。九年前にスタートした高齢者によるカボチャ作りと価格安定制度の実現など、農家の要望に応え、農協や自治体とともに地域農業の振興に奮闘。そのつながりを生かし、町内の農家はもちろん、役場や農協など、あらゆる機会に新聞を勧めています。
「自分が勧めてみようと思うまで読まないと、広げることにはならん」と紙面をよく読み、ことあるごとにその内容を語りながら増やしています。最近では、BSE問題で訪問した大隅地域の農業共済組合や畜産団体などで十人の新聞「農民」読者を増やし、会員の倍の読者数に。
また、「配達は手配りが喜ばれるし、対話が大事。もっと地域に根を張った農民組合にしていきたい」と、近隣の東串良町の宮地利雄・県農民連副会長とともに、事務所と専従者を置ける農民組合にしようと話し合っています。
会議で必ず議論、県連ニュースも
「真戸原さんに刺激され、他でも増やさにゃいけないということになってきている」と話すのは県農民連事務局長の丸野武人さん(66)。県農民連はこの間、毎月必ず行う三役会議と二カ月に一回の執行委員会で、会員数と新聞「農民」読者数の増減一覧を示し、議論してきました。
また、新聞「農民」とともに届けている週一回の県連ニュースがとても好評で、新聞の読者拡大に役立っているといいます。
十月六日の執行委員会では、南さつま農民組合の新聞読者数を三十八から五十部に増やし、県連から郵送している配達を、農民組合で配るよう提案し、具体化することに。この提案に南さつま農民組合の下屋一美会長は、「手配りすることで、みんなが活動するようになる」と、その実現に動き出しています。
南さつま農民組合は、桜島の西側、薩摩半島南部の地域にあり、これまでもポンカンの産直や土作りのための堆肥工房の立ち上げ、タンカンやエンドウ豆(グリーンピース)、そして米の産直などに取り組んできました。
〇二年六月には枕崎市に直売所『薩摩路』を建設。ものをつくる運動に積極的に取り組んでいます。さらに、大浦町の町議でもある下屋さんは、後継者支援制度の実現などにも積極的に取り組んできました。
地域の農民から信頼される窓口
しかし、農産物の自由化や「米改革」、価格暴落や市町村合併などの動きに押され、「地域の中に、今の状況を打開し、活性化しようという気迫がない」と下屋さん。こうした情勢に負けない組織を作ろうと闘志を燃やしています。
最大の課題は、自分たちで新聞「農民」を配達する体制をどう作るかです。下屋さんはさっそく組合書記長の清水春男さんや、枕崎市の松山文子・県連副会長とも相談して、十一月九日組合総会を開き、活動を具体化しました。
この動きに、「農民組合が配布することで、活動の質が変わる。自分たちで届けることで対話が生まれ、何より日常的な組織の活動が生まれる」と丸野さん。「農民組合は、地域の農民から信頼される窓口。農家の相談に乗りながら、地域をどう発展させるのか、自ら目標を持つことが大切」と話し、農家の期待にこたえられる力を持った組織作りに奮闘しています。
鹿児島県連が県要請
鹿児島県農民連は十月十三日、伊藤祐一郎県知事に、BSE全頭検査とアメリカ産牛肉の輸入禁止の継続を国に対して求めること、国の動向にかかわらず県独自で全頭検査を維持・継続すること、の二点を申し入れました。知事は翌日、地元紙の取材に、県として全頭検査を継続すると表明しました。
(新聞「農民」2004.11.22付)
|