農地への固定資産税など指定うければ、大幅軽減生産緑地制度静岡県でスタート 県内初早くから要請してきた農民連
政令市になると一気に4〜5倍も静岡市と清水市が昨年四月に合併し、来年四月には政令市に移行することが決まっています。政令市になると市街化区域内農地の固定資産税は、宅地並み課税になり、一気に四〜五倍にはね上がることに。静岡県農民連は早くからこの問題を重視して、市などに生産緑地の実施を働きかけてきました。市は、この十一月から生産緑地指定の申請受付を始めています。同市の市街化区域内農地は八百八ヘクタール、農家数は八千人で三千五百戸。今でも重い固定資産税を納めていますが、宅地並みに課税されると、地域によっては十アール当たり百二十万円以上にもなり、とうてい農業所得で払える金額ではなくなります。
ひと言も農家に説明しなかったこの降ってわいたような話に怒った数百人の農民が、九月と十月、二度にわたってムシロ旗を持ち、鉢巻き姿で市役所ロビーに座り込み。そして、九月から市が開いている集落ごとの説明会は、どの会場も超満員で、「市は政令市になると宅地並み課税になることを隠していた」「農業をつぶし、農民を殺す気か」など、激しい批判と怒りの声が飛びかいました。農家の怒りの火に油を注いだのは、両市の合併協議の過程で、この宅地並み課税の問題を一言も農家に説明しなかったことです。三大都市圏以外では、政令市になったからといって自動的に宅地並み課税になるわけではありませんが、静岡市の場合、高度成長時代につくられた中部圏開発整備法という法律が根拠になっています。
県内一般市町村に普及する運動を静岡県農民連はこのことも考慮して、六月に市と農業委員会に対して、農業と農地を守るために速やかに生産緑地を実施することと、そのことを分かりやすい資料で全農家に知らせることを要請。市は、生産緑地の実施と十分な説明を約束しました。さらに県連は、生産緑地指定で固定資産税や相続税が大幅に軽減されることを分かりやすく解説した「生産緑地Q&A」やビラを作って、座り込みの農家と話し合ったり、農協とも懇談して、共同行動を働きかけています。 これまで生産緑地の実施を渋っていた静岡市が方針を転換して、県内初の実施に踏み切ったことは、運動の成果です。同時に、生産緑地の指定には、一団五百平方メートル以上などの要件があります。 静岡県連は今後も、要件に満たない農地への支援策や市街化調整地域への“逆線引き”を求めていくとともに、県内の一般市町村に生産緑地を普及する運動を強めていくことにしています。 (静岡県農民連 清水紀夫)
(新聞「農民」2004.11.15付)
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[2004年11月]
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