遺伝子組み換え、グローバル化が飢餓・貧困の解決の道!?世界イネ研究会議・東京シンポ 農水省主催国民の願いに真っ向から反する世界イネ研究会議・東京シンポが十一月四日、開かれました。主催は、農水省。日本における「国際コメ年」の目玉行事という位置づけですが、その内容は、世界と日本の農民が直面する苦難には目をつむり、遺伝子組み換え技術とグローバル化が飢餓と貧困を解決する道だといわんばかりのものでした。
ジャック・ディウフFAO事務局長が記念講演。同氏は、「一つの作物が国際年のテーマになるのは初めて。これは、米の増産が飢餓とのたたかいの重要な位置を占めるからだ」と述べました。 しかし問題は、飢餓の解消と米の増産を実現する方法です。 世界人口の半数が主食にする米。その消費量は年々増加し、二〇二五年までに三八%の増産が必要と言われています。ところが、ここ三年間の生産量は減少。都市化・工業化で作付面積と農業従事者が減り、水不足も顕在化、さらに世界的な米価の下落が追い打ちをかけています。 グルデブ・S・クッシュ氏(カリフォルニア大学客員教授)は、こうした問題を指摘しながら、解決の道すじを、高収量、高栄養価、害虫や干ばつへの抵抗性を実現する遺伝子組み換えなどの技術開発に求めました。 約六億トンの米生産を担うのは、圧倒的にアジアの貧しい農民。そして米は、小麦やトウモロコシと違って大部分が生産地で消費され、地域固有の文化を形づくっています。これに対して、国際食料政策研究所(IFPRI)のヨアヒム・フォンブラウン所長は、「なぜ米のグローバル化が進まないのか不思議だ」といい、「政府の介入を極力排して、グローバル化のなかで効率性を高める必要がある」と述べました。 結局、両氏の主張は、遺伝子組み換え技術の特許などを利用して世界の食料支配をもくろむアグリビジネスと同じ。これが、農民の願いに真っ向から反し、飢餓と貧困の解決からも遠く離れていることは明らかです。 農水省の「国際コメ年」行事は、事実上これで最後。「米改革」で国内の米つぶしを進める農水省の“アリバイ”行事と言えなくもありません。
(新聞「農民」2004.11.15付)
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[2004年11月]
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