「農民」記事データベース20041108-659-02

今年産米の作況98でやや不作

新米 価格上がらず逆に下落!?

政府古米の市場放出が要因


需給・価格の安定に政府は責任をもて

 今年産米の作況は九八でやや不作(10月15日現在)。その一方で、新米の価格は、昨年より二三%安く、作況一〇一だった一昨年と比べても〇・八%安(27日の第五回入札)。実際の取引ではさらに千〜二千円安というのが実態です。

 二年続きの不作なのに米価が下落――これは、政府が不作に便乗して「米ビジネス」をやり、百万トンを超える政府古米を市場に放出し、その分を民間が抱え込むことになったため。国民の主食・米の需給と価格の安定に対する責任を完全に放棄した「米改革」路線の結果です。

 都道府県別の作況を見ると、登熟期に塩害や熱風にやられた日本海側の秋田が八五、山形九五、新潟は九二。とくに秋田は、戦後最悪の大冷害で米パニックが起きた九三年に匹敵する被害です。また、台風と長雨で倒伏、穂発芽の被害を受けた九州では、熊本の七七をはじめ、八十台から九十台の前半。軒並み大きな被害を受けました。しかも、この作況は、十月二十日に上陸した台風23号の被害を反映しておらず、実際の収穫量がさらに下がることは確実です。

 その一方で、二十七日に行われた米価格センターの第五回入札では、全銘柄の平均価格が、前々回(9月27日)比二・七%安の六十キロ一万五千八百四十五円。これは平年作だった一昨年を下回り、大不作にもかかわらず秋田「あきたこまち」は、一昨年同時期の入札価格と比べて七百二十八円も下落しています。災害に遭った産地はいま、不作と米価暴落の二重の痛手をこうむっています。

 「前日の作況九八の発表で先行きの米不足が懸念されるのに、相場が下がった。これは、卸が在庫の消化を優先させたため。それだけ政府が放出した百万トンがこたえているということ」と、農民連米対策部の横山昭三事務局長。「政府米の大部分は七〜八年前の超古米で、主食に耐えられるのはわずか十八万トン。国民が食べる米の八日分しかありません。価格の回復と需給の安定のために、政府は当面、百万トン規模の買い上げを実施すべきです」と語っています。

(新聞「農民」2004.11.8付)
ライン

2004年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2004, 農民運動全国連合会