「農民」記事データベース20041025-657-11

旬の味


 私がよく行く理容院のご主人の趣味は農道具の収集だ。手押しの除草機、棒秤、石臼、カメ、馬耕用プラウなどが所狭しと並んでいる▼台風で納屋が全壊したところもあり、「珍しいものがあるので取りに来い」との声がよくかかったそうだ。農家出身のご主人は、昔大事に使われていたものがどんどん捨てられていくのが残念で、少しでも人々の生活の息吹を残すことができればと考えて集めはじめたという▼一方、私の地元の農民連会員。この人の農機具収集は本格的だ。発動機、耕耘機、トラクター、オート三輪車などを年代別に収集し、すべて整備済みで、今でもほとんどエンジンがかかる。鉄骨三階建ての施設に整然と陳列されていて一見に値する▼とりわけ開発初期の発動機やクランク式の耕耘機は貴重品で、当時の農作業を思い出させる。普段は非公開だが、頼めば見学させてくれる。収集を始めたのは、農業の足跡を少しでも残したかったからだそうだ▼農業への熱い思いを大事にしている人はたくさんいる。

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(新聞「農民」2004.10.25付)
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2004年10月

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