「農民」記事データベース20041011-655-14

旬の味


 水稲の塩害がこれほどひどいとは。八月の台風に稲の登熟の盛りを直撃されて実入りがとまり、ススキ状態になった。農民は稲穂の傾く角度でおおよその収量を計る眼力を持っているが、ズバリ的中。秋田の日本海沿岸の作況指数は戦後最低の七一で、上位等級は激減しそうだ▼特に被害が著しい地域では、何百年と培われてきた松の防風林がマツクイムシで全滅。街路樹も、プラタナス、イチョウなどの葉が焼け、残暑のなか、冬の枯れ木を見る奇妙な日々だ▼ところが、その樹に新芽が出て、日ごとに緑が増してきた。この生命力には感嘆する▼梨やリンゴの果実と花が同居している不思議な光景。この影響は十年続くという。果樹農家の苦闘が続く▼稲刈りをしながら、わずか一年で半値になり、生産費を大きく割った米価に、「市場原理で落ち着くべき水準になった」と言ってのけた農水省の役人の顔が思い浮かぶ。米改革の本質だ。刈り取った田に元気よく伸びたヒコバエに励まされ、新たなたたかいを決意した。

(長)

(新聞「農民」2004.10.11付)
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2004年10月

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