「農民」記事データベース20041004-654-07

この目で見たベトナム農業

視察リポート(2)


輸出より国民へ安定供給

 視察団は、メコン・デルタ地帯にある米農家を訪問しました。

 ベトナムは、一九八八年まで米の純輸入国でしたが、一九八九年には百四十二万トンを輸出、一九九九年には四百五十万トンに達し、世界第二位の米輸出国ですが、ベトナム政府は今年四月から、「輸入も大切だが、国民に米を安定供給することが、われわれの最大の優先事項」との理由で、米の輸出制限を始めました。

 視察団が訪れたのは、ホーチミン市からおよそ三十キロ離れたサイゴン川支流にあるクチ県ビンメイ村の米生産農家、チャン・ティ・ウさんのお宅です。

 ウさんのところでは、三ヘクタールの水田で主に稲の種子を生産。三ヘクタールから十五トンのもみを収穫します。年に三期作ですから、年間の生産量は四十五トンになります。ベトナムでは年々収穫量が高まってきており、その理由は高収量品種にあります。しかしこの品種は背丈が短く雑草に埋もれて育たないケースもみられるために、農薬散布が以前に比べて増えてきているそうです。

 これに対してウさんの田んぼには、「IPM」と表示された看板が立っていて、病気が発生した時だけ農薬を散布しているとのこと。「IPM」とは、農薬だけにたよらないで病虫害を防除しようと試みていることを言います。

 いまベトナムでは、減農薬で安全な食料づくりが取り組まれているのです。

(つづく)

(新聞「農民」2004.10.4付)
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2004年10月

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