笑いたえない母ちゃんたち 張り合い楽しく好き福島 郡山市石筵の野菜づくりグループオクラ1パックでも出荷できていいネ出荷先 地場産野菜取り扱うスーパーの協同組合 ブイチェーン
鮮度よし・安心・安全・味もいい石筵のがほしいという客もここは郡山市石筵(いしむしろ)。辺りはまだまっ暗な早朝の四時三十分、渡辺イリ子さんが、軽トラで自宅を出発します。畑でとれたピーマン、ナス、赤オクラ、ジャガイモ、トマトなどの新鮮な野菜を荷台に積み込み、近所にある安田カツ子さんの倉庫に向かいます。ここで他の農家の野菜も積み込み、車で三十分ほど走って地方市場へ。積み込んだ野菜を、市場の一角にあるブイチェーン生鮮センターに届けます。 石筵の生産者がブイチェーンに野菜を出荷するようになったのは昨年四月。これまで自家用に作っていた少量の野菜も出荷できるとあって、最初四人だった生産者が、今は八人に広がりました。 ブイチェーンは、地域スーパーの協同組合。お客さんの安心・安全の要望に応えようと、地元農産物の取り扱いをスタートさせました。市場価格の二割高で、地場産野菜を引き取っています。 この間、生産者との窓口になってきたブイチェーンの佐久間国博さんは、「最初はいろいろありましたが、二年で定着しました。お客さんから石筵のがほしいと言われることもある。鮮度は間違いないし、安心・安全で味がいい。これからもどんどん出してほしい」と話します。 ものづくりに励む五十六歳から七十歳までのお母ちゃんたちは、牛飼いをやめた人、夫婦で野菜作りに取り組む人、野菜つくりが大好きだけど、出荷するのは初めてという人など、顔ぶれは様々です。ブイチェーンへの野菜の出荷について、「オクラでも一パックから出せるのがいい」「ここの畑、空いてっからつぐっか」「張り合いがあって楽しい」「好きだがらやってんだー、お金のことばかり考えてたらできないなー」「もう少し値段がいいといいんだけどなー、でも好きだから楽しくてしょうがない」と話します。 出荷の売り上げも月二万円から三十万円と様々。その一五%を運営事務費にあて、生鮮センターまでの運搬は交代で行い、運んだ人には一回約三千円払っています。 出荷先ができたことで、「六十歳過ぎても、野菜作りのおかげでますます元気になった」「欲が出て、空いてた畑に種をまくようになった」「年のわりに肌のツヤがよく、若く見られる」と、笑顔の絶えない母ちゃんたちは、福島の山の中で、毎日心の底から喜びながら「百姓」やってます。
(新聞「農民」2004.9.27付)
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[2004年9月]
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