研究50年ついに夢かなうピーマン+トウガラシの接木 おいしいピートン2世誕生育種に成功した 農の会・柳下登会長
品種改良重ね 辛さなくさっぱり甘さに「さっぱりした甘さとシャキシャキした歯ごたえが、とってもおいしい」―。農の会の柳下登会長(東京農工大学名誉教授=写真〈写真はありません〉)が今年一月、品種登録した赤ピーマンの新品種「ピートン2世」です。「ピー」はピーマン、「トン」はトウガラシ。「ピートン」は、両者を接木(つぎき)して生まれました。半世紀の間、追い求めてきた柳下さんの夢の実現です。「ピートン2世」の特徴は、何と言ってもクセのない甘さ。糖度は八度。ピーマン特有の苦みは、ほとんどありません。 柳下さんが「ピートン」の研究を始めたのは五十年前。まだ、接木で遺伝的な性質を変えたり、雑種はできないとされた時代でした。 「自然科学上のことは実験で解決すべきだ」と考えた柳下さんは、ピーマンの台木にトウガラシを接木します。すると、トウガラシの果実なのに先がピーマンのようにへこんだ変異果が現れ、接木を反復すると出現率はさらに高くなりました。「ピートン1世」の誕生です。接木による変異が子孫に遺伝することが、実験によって証明されました。 しかし柳下さんの夢はこれで終わりません。「ピートンをおいしく食べられるものにしたい」。この思いで改良を続けます。良食味・多収をめざして「1世」に肉厚と長型のピーマンを交配、選別を繰り返しました。 一口に品種改良と言っても、それは地道な作業の連続です。千五百株の「ピートン」を一株一株丹念に調べ、これぞと見きわめた一株だけ翌年種をまく。その年も次の年もさらに…。こうして二十五年の歳月を経て、小さく辛かった「1世」の実は、大きくて肉厚で、さっぱりした甘さの「2世」へと変ぼうしました。
ふるさとネットに乗せ全国に普及したい農民連八月末、東京農民連の武山健二郎事務局長さんが、柳下さんのもとを訪れました。「ピートン」普及会を作り、結成されたばかりの「農民連ふるさとネットワーク」にのせて、全国に栽培を広げるためです。東京農民連は、会員の山口照男さんが育種したイチゴの新品種「純ベリー」を同じように普及した経験があります。種採りや苗作りなど、まだ解決しなければならない問題はありますが、「ピートン2世」が食卓にのぼる日も、もう間もなくです。
(新聞「農民」2004.9.27付)
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[2004年9月]
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