「農民」記事データベース20040920-652-15

演劇

劇団俳小の 悲喜劇『自殺者』

失業苦のソ連社会を風刺


 劇団俳小はロシアの演出家ウラジーミル・ベイリス(モスクワマールイ劇場主任演出家)=写真下〈写真はありません〉=を迎えて悲喜劇「自殺者」を上演します。失業者があふれている一九二〇年代のソビエト社会を風刺したニコライ・エルドマンの作品。今回は、年間三万人もの自殺者が出るという日本の現状を考え、生命の尊厳、生きることの意義を訴えるヒューマン悲喜劇としてとりあげています。

 主人公のセミョーノフは長いこと失業していて、妻の稼ぎで生活していますが、いつも彼女と争いになります。セミョーノフが、自殺するぞ、と妻を脅すと、この自殺願望が世の中に知られるようになります。すると、セミョーノフの自殺を自分のため、あるいは自分の所属する組織のために使おうとする人間たちが集まってきます。行きがかり上、自殺せざるを得なくなったセミョーノフは関係者たちと酒をあおって最後の儀式をすませます。しかし…

 演出のベイリスさんは「喜劇の王様」とよばれています。「個人的にも喜劇が好きだが、いつも成功するわけではない」と笑います。「この戯曲は、いちばん大切なドラマツルギーの性格づけが、俳優にも演出にも難しい作品である。登場人物たちがまともでなく、だれが道徳のある人間なのかわからないようになっている。しかし、この作品は生きるための賛歌であり、作者は作品を通して、みずから命を絶とうとする人たちにとどめを刺そうとしている」と語ります。そして、「俳小のけいこ状況はいい方向にむかっているので、すごく満足している」と両手を広げてみせました。

 翻訳は中本信幸、美術・衣裳はアレクサンドル・クルーズノフ。出演は松本光史、勝山了介、斎藤真ほか。客演は野村須磨子、マリーナ・ポターポヴァ(振付も)の二人。

(鈴木太郎)

 *9月29日〜10月3日、東京・池袋・東京芸術劇場小ホール2。連絡先=劇団俳小TEL03(3987)1787

(新聞「農民」2004.9.20付)
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2004年9月

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