和歌山県食品大手「カゴメ」参入の後押し県費34億 広大な用地、安値で提供へ和歌山県は、関西空港建設のための土砂採取跡地「コスモパーク加太」(和歌山市)にカゴメ(株)のトマトハウスを誘致する動きを強めています。県は、カゴメの農業参入に道を開くために、同地区を「構造改革特区」に申請。県の予算で土地を安く貸し出し、大企業の参入で地域農業を崩壊に導こうとしています。こうした暴挙に対抗する草の根からの共同が広がりつつあります。
地域農業の崩壊まねく農協が共同で議会に反対請願カゴメに貸し出される予定地は三十七ヘクタール。甲子園球場が七つも入る広大さです。これを、県が土地開発公社から一平方メートル当たり年間五百六十円で借り、カゴメにはたった百円で貸与。差額は、契約期間の二十年間で約三十四億円。この巨額の恩典を、県民の税金でまかなおうというのです。
県全体のトマト生産量に匹敵しかも、カゴメのハイテクハウスで生産される量は年間五千〜六千トンで、県全体のトマト生産量に匹敵します。農協の役員は「死活問題だ」と強い危機感をあらわにし、トマト農家からは「私たちがハウスに換気ファンをつけるのには一円も出さない県が、カゴメにだけそんな金を出すのは納得できない」との怒りの声があがっています。この問題は、八月八日投票でたたかわれた県知事選挙でも大きな争点になりました。結果は現職が当選しましたが、大企業には湯水のごとく税金を注ぎ込む一方で、暮らしや福祉、農業を切り捨てる、冷たい県政への批判は史上最低の投票率に表れ、その中で「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」が推薦した泉敏孝候補は一八%の得票を得ました。 そして投票日の三日前、和歌山県那賀郡の総合農協「紀の里」の打田支所トマト部会は、打田町議会に(1)カゴメはコスモパーク加太から撤退すること(2)企業の農業参入を許さないこと(3)トマト生産者のみならず農業全体の振興及び活性化を図ること、など六項目の請願を提出。同農協管内の他の五町議会にも、同様の請願を提出することになっているそうです。まさに県知事選のたたかいが、紀の里農協のこうした動きに発展しました。
小泉版「農業改革」に強い批判さらに八月二十六日には、農民連ふるさとネットに加入する産直専門農協「紀ノ川」と紀の里農協が、初めて共同で学習会を開催。「農協における適正農業規範(GAP)の導入について」と題して講演した藤井淳生氏(日本オーガニック&ナテュラルフーズ協会)は、「カゴメの進出は、従来のような企業の“剰余の活用”ではなく、“ノウハウの活用”をめざしている」と警鐘を鳴らし、翌二十七日には、粉河町議会に両農協の支所・部会が連名で請願を提出しました。これらを通じてつくづく感じるのは、たたかってこそ大きな共同を築けるということです。農産物の自由化を進め、農業を一握りの大企業のもうけにする小泉版「農業改革」とのたたかいを、草の根から広げていこうと決意しています。 (和歌山県農民連 中津孝司)
カゴメ トマト加工品の最大手、売上高約一三四二億円(〇四年三月末)本社は名古屋市。 (新聞「農民」2004.9.20付)
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[2004年9月]
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