沖縄・米軍ヘリ墜落事故台風の荒れ狂う様、県民の叫びに聞こえた市民大会参加事故現場視察連帯代表団に参加して九月四日から六日まで、米軍ヘリ墜落事故で怒りが急速に高まる沖縄へ、宜野湾市民大会への参加や現場視察、市民・自治体との交流などを目的とした安保破棄中央実行委員会の「連帯代表団」の一員として参加しました。
基地ある限り市民の命・財産守れぬ大型で非常に強い台風18号の直撃が心配されるなか、那覇空港に到着。意外にも風はあまり強くなく、「これなら明日の宜野湾市民大会は大丈夫だろう」と、胸をなで下ろしました。一休みした後、沖縄青年会館での「沖縄県民との連帯集会」へ。「普天間基地の無条件全面撤去、辺野古『移設』許すな!」の看板が掲げられ、続々と仲間が集まってきます。十七中央団体、十九都道府県の代表、沖縄の仲間など約百人が、熱く交流しました。 沖縄平和委員会の野原全勝代表は「米軍ヘリ墜落事故の実態をつぶさに見て、全国に広げてください」と歓迎あいさつ。沖縄統一連の新垣繁信代表幹事が、米軍ヘリ墜落事故直後の現場の様子について、「三時間後に現場に行ったがもう米軍が軍事占領しており、周辺は立入禁止。いたる所に国際大学一号館に激突したヘリの破片が飛び散っている。死者が出なかったのが、奇跡的だ」と、怒りをあらわに報告しました。 安保破棄中実委の西川征矢事務局長は「米軍基地の実態を私たちの目で確かめ、怒りを直接とらえて全国に発信していきたい」。また、米軍基地問題調査のために沖縄入りした日本共産党の市田忠義書記局長をはじめ、四人の国会議員が駆けつけて激励しました。 続いて、埼玉や大阪など全国の仲間が、持ち寄った寄せ書きやカンパを沖縄の仲間に手渡します。私も、農民連本部からの寄せ書きとカンパを届けると、沖縄の代表は、「本土の激励に感謝し、最後までがんばる」と力強く答えました。 集会が終わって外へ出ると沖縄産直センターの嘉数進さんが待っていてくれました。「ヤー」「ヤー」とあいさつし、「明日の集会でまた会いましょう」。 しかし、夜中に目が覚めると昨日とは一転、激しい雨と風。木々が激しく揺れています。早めに食事を済ませ、新聞「沖縄タイムス」を見ると、「台風18号 きょう本島直撃の恐れ」。ところがそんな暗雲をかき消すように、その横には「米軍ヘリ墜落 きょう宜野湾市民大会 実行委一万人参加目指す」とあり、さらに四ページを使って「フテンマの空へ 今 米軍ヘリ事故抗議・返還求め市民結集」の特集記事を載せていました。 一面は、沖縄国際大学学生の當間弘子さんの「黒いもくまおう(木痲黄)」という詩と生々しい墜落現場の大きな写真。見開きはカラーで「危険・爆音・隣り合わせ」という宜野湾市全域の航空写真、ヘリ墜落による被害状況を図面と写真・説明文で詳細に記載。四面には「ヘリ墜落一七件 復帰後普天間」の写真と墜落事故などの年表を載せ、沖縄のマスコミが県民の気持ちをいかに大事にしているかを示す渾身の特集でした。 十時過ぎの発表で、五日の集会は、十二日に延期になったとのこと。大いに荒れ狂う台風を目の当たりにした私には、米軍の横暴や日本政府の無責任さに抗議する沖縄県民の積年の恨みと消すことのできない怒りの叫びに聞こえました。 三日目。まだ激しい雨と風のなか、タクシーで宜野湾市当局との懇談へ。市庁舎一階のロビーでは、事故現場のカラー写真展が開かれていました。炎上する米軍ヘリ、黒焦げの「もくまおう」、襖(ふすま)を貫徹するヘリの破片…。身の毛がよだつ光景です。
この目でみた住民の怒りや 基地実態を全国に発信したい住民交流の輪に市長もかけつけ基地政策課の課長は、「普天間基地は、市の面積の二五%。国内唯一の米軍ヘリ基地で、七十一機が常駐し、いま四十数機がイラクへ行っている」と説明しながら「市民・県民・国民の団結した力で早期返還を実現したい」と語ります。現地住民との交流の途中で、伊波洋一市長が駆けつけてくれました。「集会の中止は残念だが、台風には勝てません、十二日にやりますから、ずーっと泊まっていってください」と、笑わせる伊波市長。ヘリ墜落は、市長が七月の訪米の報告会を開いている最中だったそうです。「基地がある限り、市民の命と財産は守れない。事故を最後の警告として受け止め、普天間基地の撤去までたたかう」と断言しました。 空港へ向かう途中で墜落現場を視察。聞きしにまさる惨状です。振り返ると大きなマンションが立ち並び、「もしこの中に…」と考えると、ドキッとします。降りしきる雨に立ち尽くしながら、沖縄県民の怒りを共有しなければとの思いにかられました。 三時間半遅れで羽田に到着。緊迫感と充実感にあふれた三日間でした。
(新聞「農民」2004.9.20付)
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[2004年9月]
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