産地と直結、地域に根ざす がんばる米屋さん産地に出向き直接つきあい客に農家の息吹を提供
農家を前面に押し出した店づくりをする砂金(いさご)健一さん東京・台東 「金澤米店」「○○さんのお米二キロください」。お客さんが指定した農家の玄米を、その場で精米。アイガモ農法や各種こだわり農法米が並んだ店頭には、農家の名前に続いて品種、産地などの表示と写真、米と農家にまつわる一文が添えられています。 東京都台東区にある「金澤米店」は創業百年の米穀店。十二年前、中学校の社会科教師の仕事を退職し、奥さんの実家の米屋を継いだ三代目の砂金健一さんは、農家を前面に押し出した店作りを行い、全量を生産者から直接仕入れています。 お米屋さんの強みである対面販売を生かし、店頭精米が終わるまでの三〜四分ほどの時間で、農家の暮らしぶりや、米作りのこだわりなどを伝え、栽培方法や人柄によって違うお米の食べ比べもすすめます。 「米の向こうにある農家の姿を伝えることで、お客さんの反応が違ってくる。都会に住む消費者は、お米以外の、農家の息吹が伝わるものも求めている」と健一さん。「作る人から直接話を聞かなければ生産者のことは語れない。産地に出向き、農家とのつきあいのなかで感じたことが、会話を通じて自然にお客さんに伝わる」と、一緒に店を切り盛りしている妻、政美さんと、休みを利用して農家を訪問しています。 農家から直接届く、お米以外の旬の農産物や昔ながらの農産加工品もこの店の魅力。「ジャガイモある? 去年のキュウリはまだ出てこないの?」とお客さんから声がかかります。 「自給用に作っている野菜などのおすそわけが意外と武器になる。小さい畑でも、そこで採れるものには新鮮味があり、お米だけでなく、こうした旬の農産物がついてくると、お客さんは喜ぶし、つながりがさらに深まる。農民連のネットワークは、地域の農産物や加工品が魅力」と期待を寄せます。 「地域のお客さんと、食と農について互いに学びあい、習いあう。そういう場所に米屋はなれる。その時の十分な話題は、生産者と直接ふれあっていないと得られない」と健一さん。 千葉県の農家の協力を得ながら、お客さんと味噌加工に取り組むなど、農と食にこだわる人と人とのつながりを、地域のなかで広げています。
(新聞「農民」2004.9.20付)
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[2004年9月]
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