「農民」記事データベース20040913-651-01

米屋さんと生産者をつなぐ交流会

昨年は不作高騰、今年は大暴落――激動の時こそ
お互いより結びつき強めよう

東京で大阪で 産地丸ごと届けたい

 「米と一緒に産地まるごと届けたい」「大手中心ではないもう一つの米の流れを作ろう」――農民連は、八月二十二日に東京で、二十九日には大阪で、お米屋さんと生産者との交流会を開きました。
 米改革初年度の今年は、米作りも、米の流通も大きく激動するなかでの開催。生産者も、お米屋さんも、関係をより近づけて力を合わせようという熱意あふれる交流会となりました。
 意見交換では、農民連食品分析センターから食の安全問題での発言のほか、産地ごとの作柄や自然災害の状況の報告、栽培の特色などをまとめた詳細な資料や全国の特産品カタログが配布されました。また、特設コーナーでは収穫直前の稲株や早場米のサンプル、米以外の農産物や加工品の展示、新米の試食が行われ、大勢の人だかりでにぎわいました。

関連/参加者の感想


もう一つの米の流れをつくろう
安全・安心そえ米を送り届ける

東京会場

 ふるさとネットで期待に応える

 東京での大交流会は今年で三回目。東京、神奈川、茨城、埼玉、福島から八十人余りのお米屋さんが参加し、生産者も北海道・東北(ほくほく)、関東、北陸の各ネットから九十四人が参加。米卸の東京城南食糧販売や関連業者なども含めた二百十人が集いました。

 主催者あいさつで、農民連ふるさとネットワーク(ふるさとネット)の堂前貢会長は、「八月三日に結成したふるさとネットは、地域の多様な生産を掘り起こし、大企業とは違うもう一つの流れに乗せて消費者に届けるもの。この事業計画で、最初にあげているのがお米屋さんとの準産直米の飛躍であり、みなさんの期待に応えたい」と決意を表明。さらに、東京都米穀小売商業組合文京支部長の渡邉弘支部長、東京城南食糧販売協同組合の青木光政営業部長が来賓あいさつしました。

 がんばって良質米届けたい

 特別報告では三人が発言。「会として品質の統一とレベルアップに取り組んでいる」(福島、浜通り農業を守る会・三浦広志さん)、「魚沼産に匹敵する米を、村をあげて準産直でと模索している」(長野県栄村・広瀬進さん)と訴えました。

 産地からは、「福島と山形・庄内の米は栽培状況をネットで閲覧できるので活用してほしい。今年から北海道・今金の米も出荷する」(ほくほく・森谷精さん)、「地域によっては色付いているのに刈ってない田が目立ち、刈り遅れの報告もあった。低米価でもがんばろうと声をかけ、良質米を届けたい」(関東・小倉毅さん)といった報告がありました。 

 カドミ含有量に強い関心が

 意見交換では、農民連食品分析センターの小野塚春吉さんも発言。「カドミウムの国際基準が〇・四ppmで検討されている。カドミウムの分析体制を整えたので活用してほしい」と訴えました。

 これに対して米屋さんから「健康に良いとすすめているが、ヌカの安全性はどうか」という質問も。小野塚さんは、「玄米と白米でカドミの含有量に大きな違いはないという報告がある。米中のカドミは水溶性ではないので、移行しないと思うが、実験で確かめてみたい」と答えました。

 また、無農薬米の栽培に挑戦している西東京米研究会の金井一浩幹事長は、「生産者の苦労を味わい、伝えていけば販売につながると思って始めた」と発言しました。


産地ごとの作柄、栽培の特色や全国の特産品のカタログ、場内に

大阪会場

 台風の被害状況を報告

 大阪での交流会は、大阪、名古屋、京都、奈良、和歌山などから七十人のお米屋さんが参加。北海道・東北、関東、北陸、近畿、中国、九州から八十一人の農家がかけつけ、卸や関連業者などを含め、百六十人余りが集いました。

 司会を務めた滋賀県農民連の田口源太郎さんは、「昨年の不作・米価高騰から一転して米価が大きく下落するなか、米屋さんと生産者がより結び付きを強める交流会にしていきたい」と開会宣言。ふるさとネットの堂前会長、大阪消費者団体連絡会の飯田秀男事務局長があいさつしました。

 飯田さんは、「穀物自給率二七%の危機的状況のなか、信頼関係が大事になっている。生産から流通、消費につながる、安全・安心をそえてお米を届ける流通を築きあげてほしい」と呼びかけました。

 産地からは、台風直撃のなか午前四時起きでかけつけた九州の生産者が、作物や被害の状況を報告。また、「岡山では棚田地域のはざかけ米を出荷したい」(中国・坪井貞夫さん)、「米だけでなく、果物、野菜、加工品も届けられるし、ぞうり作り、収穫体験などの交流もおおいにやっていきたい」(近畿・上原実さん)などと報告しました。

 地域に密着した米屋として

 意見交換では、「安心できる食生活を、農家とお米屋さんが提案するとの思いを込めて会を立ち上げ、活動している。地域に密着した米屋として不作でも安心感を与えられたことが良かった」とあすなろの会代表の米安米穀店・蔵井謙一さん。また、農民連食品分析センターの石黒昌孝所長が、食の安全をめぐる情況を報告しました。

 特設コーナーには、乾そば、生ゆば、万願寺佃煮、ぶどう、なたね油など、北海道から鹿児島までの自慢の農産物や加工品・特産品や試食用の新米が並べられ、大勢の参加者が集まっていました。

(新聞「農民」2004.9.13付)
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2004年9月

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