「農民」記事データベース20040906-650-11

旬の味


 書店に近年、太平洋戦争を「日本を守るためにやむを得なかった」と美化肯定する本が並んでいる。瀬島竜三・元大本営作戦参謀の本もある▼財界などの資金的援助の有無はともかく、これが憲法九条を消そうとする策動につながっていることは間違いない。書店にこの種の本がいつも並ぶのは、それを買う人がいるということだろうか▼戦争をたくらんだ者はのうのうと生き延びている。犠牲者はいつも弱者である。生き残った兵士こそ戦争の惨劇を語らなければならないのに、えてして農村では懐旧談になっていたのではなかったか。ここに憲法改悪がつけ込む草の根の温床があるのではないか▼「戦死したかも知れやしね(知れません)、笑って、たよりもごわしねで(ないので)」(栗林一石路)。村に残る女のあいさつの句である。顔は笑っていても心中は…と、この句は告発している▼徴兵制などないと言えるか。会社や自治体や病院から戦地へ行けといわれて拒否すればクビだ。これは形を変えた徴兵制ではないか。米も憲法も暑い夏だ。

(節)

(新聞「農民」2004.9.6付)
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2004年9月

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