「農民」記事データベース20040906-650-09

04年 わが家の米作りと田んぼ


見えたり隠れたり

 集中豪雨とうだるような暑さにみまわれている八月上旬の日本列島。水害のみならず干ばつの被害も出るのではと心配になります。さいわい私の地域では水害もなく稲は順調に生育しています。コシヒカリは今、穂揃期から傾穂期(穂が下を向く時期)。民間機関の作況予想は豊作とのことですが、高温障害による品質低下が心配です。

 わが家の稲は予想通り慣行栽培より七〜十日遅れの出穂。雑草と共生しながらよくがんばっています。よい田んぼは穂数も確保され、目標収量に届きそう。でも雑草のコナギとホタルイのダブルパンチを受けた田んぼはやはり苦しく、平均すると十アール当たり四百五十〜四百六十キロの収量かなぁと予想しています。

 田んぼの生き物の様子は六月ほど華やかではありません。ナツアカネやシオカラ、ギンヤンマなどのトンボが見られますが、ツバメはもう子育てを終えたのか、低空を乱れ飛ぶ光景はありません。落水時期、土にもぐるドジョウを食べに来るサギの姿が面白く、一枚の田んぼに十数羽、草丈が伸びた稲から頭と首が見えたり隠れたりするのはモグラタタキを想像してしまいます。

 朝日が昇るころや夕日が沈むころ、太陽の光で照らし出される、田んぼ一面のクモの巣も田園風景の一つです。(写真〈写真はありません〉

 無農薬・有機栽培にとってクモは大切な生き物。仲間から「ベトナムにクモ博士がいて、無農薬栽培に貢献している」という話を聞きました。新聞「農民」に連載された「キューバ紀行」でも、国や研究者、生産者などが一体になって無農薬・有機栽培に取り組み、食料自給率を四五%から六五%に向上させたとありました。日本の稲作技術も、大きな転換が求められているのではないかと思うこのごろです。

(牧田孝允)

(新聞「農民」2004.9.6付)
ライン

2004年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2004, 農民運動全国連合会