平和守る くらし守る 農業守る願い一つ 草の根から第50回日本母親大会にのべ2万人
「平和を守る共同を草の根から広げよう」――。第五十回日本母親大会が八月二十一〜二十二日、埼玉と東京を会場に開かれました。半世紀の歴史を刻む母親大会の出発点は、平和と暮らしへの母親の願い。今年もまた、のべ二万人の女性たちが集い、思いを一つにしました。農民連の女性部員も全国各地から多数参加。オリンピック期間中にもかかわらず、戦火が絶えないイラクの女性や子どもたちに思いをはせ、「アメリカは侵略戦争をやめよ」「日本は加担するな」「憲法九条を守ろう」と大きな声をあげました。
拍手 笑い 感動一日目は、埼玉・獨協大学を会場に、五十六の多彩なテーマで分科会。そのうちの一つ、「国際コメ年・守ろう食の安全、日本の農業」のシンポジウムには、約百二十人が参加しました。パネリストは、ワクチン研究者の立石昌義さん(埼玉農民連副会長)、畜産農民全国協議会(畜全協)会長の森島倫生さん、東京・金澤米店の砂金(いさご)健一さん、主婦連合会参与の清水鳩子さんです。 森島さんは「いつまでも食料を外国から買いあさる日本でいいのか」と問題提起。立石さんは、アメリカの圧力に屈してBSE全頭検査をやめ、輸入を解禁しようとしている小泉内閣を批判。砂金さんは、お客さんとの対話を大事にしてお米を販売している経験を紹介。清水さんは「食の安全と日本農業を守るには、もうけ本位でない正しい情報を共有することが大事」と述べました。 四氏の報告に大きくうなずきながらメモをとるお母さんたち。会場からは「米をめぐる遺伝子組み換えの現状は?」「環境の面からも農業を守ることが大事」といった質問・意見が相次ぎます。 神奈川の若い女性からは「農業に興味があって、研修してから就農したいと思っている」との発言も。これにこたえて愛知農民連の野田幸子さんは持参した稲穂を見せながら「農業は本当にすばらしい職業。でも今はたいへん。それは政治が悪いから。政治を変え、農業の喜びを知ってほしい」と励ましました。 拍手と笑い、感動に包まれたシンポジウム。司会をつとめたのは、農民連女性部の小林恭子さんとJA女性協の会沢テルさん(福島・三春町の稲作農家)です。会沢さんは「いろいろな関係の人と話し合うことが農業を守ることにつながると思う。今日はたいへん勉強になりました」と語っていました。 (N)
明日への元気を充電農村お母ちゃんの交流会野良で働いているお母ちゃんたちにとって、大会の楽しみの一つは共通する思いを語り合える交流会。分科会の会場から電車を乗り継いで、東京・本郷の宿舎に到着。夕食をとりながら日ごろの苦労や大会参加の思いを交流しました(右写真)。前日の台風15号の強風で、青いリンゴが落下したり、ビニールハウスがはがされてキュウリや花が被害を受けた青森、秋田、岩手の女性は、後ろ髪を引かれる思いで参加しました。集中豪雨で稲や枝豆に被害が出た新潟の千原悦子さんは「軽かったところでも三割の減収」といいます。 異常気象に振り回されているという話題が多く、千葉や茨城では「日照りでニンジンがまったく発芽しない」「ナスやキュウリがダメになった」、富山では「フェーン現象でトウモロコシが加熟して半分しか出荷できない」、群馬では「手のひらに三個しかのらないほど大きなヒョウが降った」など、苦労している様子が伝えられました。 一方、「農業はたいへんだけれど喜びも大きい。小学生や新婦人と一緒に田植えをしたり、家族で支え合って楽しみながら農業をしている」という熊本の紺屋本裕美子さんや愛知の野田さんの発言も。消費者として参加した『食べもの通信』の岡本昭子さんは「農業の荒廃に心を痛めている。消費者としてできることはないかと、ヌカ漬けを漬ける運動を提案している」と述べました。 交流会の最後には即興の踊りも飛び出して、大いに語り、笑い、明日への元気を充電しました。 (農民連女性部 高橋マス子)
“自給率の向上を”演壇から農業の現状訴え二日目は、東京・有明コロシアムで全体会。アグネス・チャンさんの記念講演に続いて、各地・各分野の女性たちがリレー発言。埼玉農民連の“元気印のお母ちゃんたち”も、演壇から農業の現状を訴えました(写真〈写真はありません〉)。
“忍”の一字 へこたれない!茨城中央農民組合女性部の藤田きみ子さん 農村の母親の現状を全国の女性に知ってほしい、一緒に変えたいと思い、母親大会に参加しました。私は、養豚と栗と稲を三本柱に、若いころは八桁農業(一千万円の所得)をめざしました。当時は今よりも経費がかからず、効率がよかったように思います。今は、栗で言えば、重量の一二%を選別でとられ、さらに手数料などが引かれ、売り上げはみじめなものです。畜産も、捨てる物にも多大な設備投資が必要で、米も農機具屋の稼ぎのお手伝い。農家の母ちゃんは“忍”の一字です。 先日、集中豪雨の被害に遭われた農家がテレビで「稲は泥の中でも成長を続けているが、ストレスがかかりまともな収穫は望めない。共済金は、来年の種もみ、肥料代で消えてしまう。それでも、こんなことではへこたれない」と力強く語っていました。「へこたれてなるものか!」―この思いを胸に、日々の農作業にがんばっています。
(新聞「農民」2004.9.6付)
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[2004年9月]
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