映画
120周年迎える秩父困民党事件
「草の乱」神山征二郎監督
明治の悪政に抗する農民
9月4日から 全国で自主上映
明治政府による軍備増強の増税策と生糸価格の暴落で、養蚕農家は極度に困窮していた。そこにつけこむ高利貸したち。多くの農民が、借金返済ができず「身代限り(破産)」となって田畑を取り上げられていった。こうしたなか、秩父の農民は、自由民権運動と結びついて秩父困民党をつくり、役所に救済の請願をするが受け入れられない。
「圧制を変じて良政に改め、自由の世界として人民を安楽ならしむべし」―ついに一八八四年十一月一日、三千人をこえる秩父の農民は、明治政府の悪政に耐えきれず、「恐れながら天朝さまに敵対するから加勢しろと、吉田村の椋神社で立ち上がった。
神山征二郎監督が、今年百二十周年を迎える秩父困民党事件を映画化した「草の乱」が、いよいよ九月から上映されます。
この映画は、自主制作・自主上映の運動が、大きな支えとなっています。総製作費四億五千万円は、大衆的な出資とカンパで集められました。撮影期間が七十六日間、そして約八千人のエキストラが参加・協力。埼玉農民連の会員も参加しています。企業でもなく行政でもなく、一般の市民の手で作り上げる――これこそ、秩父事件をテーマにした映画にもっともふさわしい。
九月四日の東京ロードショー(有楽町スバル座)を皮切りに、埼玉県内をはじめ、この秋、全国で自主上映がスタートします。市民の手で、多くの観客に「草の乱」を見てもらう取り組みをぜひ成功させましょう。
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また、新日本出版社から「秩父事件―圧制ヲ変ジテ自由ノ世界ヲ」(編集・秩父事件研究顕彰協議会、定価千七百円)が出版されました。この本は、秩父事件の全容を、事件がおきた背景からその後の影響まで含めて浮き彫りにした初めての本格的な通史です。この機会に、秩父事件を詳しく知るうえで、格好の教材です。
(新聞「農民」2004.8.30付)
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