「農民」記事データベース20040830-649-05

食糧主権を求めよう

来日のアジア民衆キャラバン代表

 7月22日から8月4日まで、「食糧主権を求めるアジア民衆キャラバン」の代表が来日。名古屋、大阪、岩手、東京などを精力的にまわり、各地で農民連や食健連、生協、JAなどと意見をかわし、農業の現場も見て回りました。また、農民連ふるさとネットワークの結成総会とレセプションにも参加しました。


日本の農業・農村を見たい

農民連・食健連・JAなどと交流

 無農薬桃作り、お茶畑も見て〈愛知〉

 「日本の農業、農村を見たい」というギルバートさんの要望を受けた私たちは、日本の姿を誤解されてはいけない、と両肩に力を入れて待ちうけていました。しかし、訪れた彼は、やさしい面持ちの好青年、いっぺんに肩の力が抜け、楽しい交流になりました。

 ギルバートさんは、まず生協主催の東海交流フォーラムに参加。彼の報告「土地の所有権すらないアジアの農民の現状」に、出席者は驚きをもって聞き入っていました。

 フォーラム終了後、新城市の白井倫啓さん宅に宿泊し、通訳の伊庭みか子さんを交え、アジアの農業事情、WTO問題など、いろいろな話題で交流を深めました。

 翌日は、お茶農家の中島茶園へ(写真(1)〈写真はありません〉)。新城は隠れたお茶の名産地です。フィリピンに茶畑はないそうで、初めて訪れたお茶畑の景観と、若い経営者の奥村嘉章さんの熱心な説明、加工場の設備に大いに興味をもったようでした。

 次に訪れたのは、桃の出荷で大忙しの河部農園。河部義通さん(73)のおいしい桃をいただいた後、化学農薬を使わない果物作りを見学しました。民衆キャラバンのテーマの一つ、「農薬と遺伝子組み換え作物・食品のない世界を!」に合致する河部さんの農法は、大変参考になったようでした。

 この交流を通じて、日本の農民以上にアジアの農民の置かれている状況の厳しさを知るとともに、私たち農民ががんばって日本農業を守ることが、アジアの農民のためにもなることを実感しました。(東海ブロック編集協力員 野澤優=愛知・新城農民連)

 ハウス・トマト生産農家訪問 〈岩手〉

 ギルバートさんとサラさんは、七月二十九、三十の両日、岩手県を訪れました。JA盛岡市では、館澤公紀組合長と懇談した後、トマト・キュウリの選果場、米の保管倉庫を見てまわり、ハウス・トマトの生産農家を訪問。また、岩手食健連や消費者団体、コープいわての役員とも懇談しました。(写真(2)〈写真はありません〉

 懇談の中で、ギルバートさんは、フィリピンでは大地主による農業支配で輸出用の商品作物に農地が使われ、一方ではWTOやグローバル化のもとで自分たちが食べる穀物が大量に輸入され、農民は飢餓と栄養不足に苦しんでいる、と告発しました。

 サラさんは、スリランカでは輸出用のプランテーションで大量の農薬が使用され飲み水を汚染、また農地から締め出された農民が都市に出て、貧困層となっている実態を報告。「アジアの中で、どういう人たちがどういう状況の中で農産物を生産し、それが日本に輸入されているかをぜひ理解してほしい」と訴えました。


アジア民衆キャラバン

 キャラバンの代表は、マレーシアのペナンに拠点を置く「農薬行動ネットワーク・アジア太平洋」の食糧主権と生態系農業のプログラムコーディネーターで、今回のキャラバンの主任をつとめるフィリピンのギルバート・サペさん。もう一人は、スリランカ農業改革・農地解放全国運動の代表、サラ・フェルナンドさん。

 この民衆キャラバンは、アジアの百以上の組織が連帯して、九月から一カ月の間に十三カ国をまわり、ネパールで終結集会が開かれます。その中で、食糧主権条約を求める国際署名に取り組み、集会や討論会などで「今こそ、私たちの土地と食糧の権利の実施」を求め、支持を広げようという国際的な運動です。今回、日本へはプレ・キャラバンとして来日しました。

(新聞「農民」2004.8.30付)
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2004年8月

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