「農民」記事データベース20040816-648-14

本の紹介

坂井由衛「岐阜県労農運動思い出話」復刻版


戦前の農民運動の実録

 この本は生々しいたたかいの実録です。一九二三〜三〇年ころ、厳しい年貢の取り立てに加えて、長良川流域の河川改修計画が持ち上がりました。この計画は、上流域の乾田化のために下流の農地、農民を犠牲にするというもの。犠牲になる地域には、小作料減免闘争で訓練された農民組合が存在していました。

 計画に反対した農民たちは、子どもを背負ったお母さんや子どもたちも参加して、五千〜七千人の大集会を組織し、官憲と対峙。警官は抜刀し、軍隊も出動する内乱に近い状態になりました。

 当時、政府は侵略戦争にひた走っている時で、税金の取り立てはひどく、全国で農民の闘争が激しくなっていました。岐阜県でのたたかいを私たちも聞いていましたが、この本を読んであらためて、たたかいの大きさ、激しさに驚いています。

 岐阜県では、農民運動先覚者顕彰追悼会が毎年開かれており、今年は碑が建立されて二十五周年。運動の中心的な指導者だった坂井由衛氏の娘の上野芙美さんが、父親が書き残した本を復刻版として出版したものです。

 明治憲法下の激しい弾圧のなかで、自分と家族を犠牲にして農民を守るためにたたかった先輩たちに学んで、平和憲法を守り、日本の農業を守るたたかいへと決意を新たにしています。ぜひともご高覧いただければと一筆書きました。

(岩田 昭)

 一冊千二百円(送料別)。注文・問い合わせは、岐阜県農民連・岩田 電話・Fax0574(26)5204までお寄せください。

(新聞「農民」2004.8.16付)
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2004年8月

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