「農民」記事データベース20040802-646-02

「基本計画」見直しの“骨子案”出る

農水省の企画部会


自給率目標の未達成 生産コスト償う価格保障
いっさい触れず

 「食料・農業・農村基本計画」の見直し作業を進めている農水省の審議会は二十一日、第十五回企画部会を開き、生源寺眞一部会長が中間論点整理の「骨子案」を示しました。

 「骨子案」は、いま農政改革が必要な理由として、構造改革が立ち遅れていることなどをあげていますが、食料自給率が極めて低く、政府が掲げた目標さえ達成できないことについてはまったく触れず、野放しの農産物輸入を前提に、一部の「やる気のある農家」への支援づくりを明確に示すものとなっています。

 “農村のビジョンがない”

 政策改革の方向では、(1)担い手政策のありかた、(2)品目横断的な経営安定対策、(3)農地制度のありかた、(4)農業環境・資源保全政策の確立の四点を提示。(1)では、いちおう、集落営農も担い手に含める考えですが、(2)では、水田と畑作経営について、価格保障を全廃して、品目横断的な所得保障に、また野菜・果樹・畜産は、品目別の政策を見直すとしています。生産コストを償う価格保障には一切言及していません。(3)の農地制度については、株式会社の農地取得には触れず、特区におけるリース方式の全国展開や権利移動制限の緩和という表現にとどめています。(4)の環境・資源保全では、農家が取り組むべき規範を示し、支援策を要件化するなどの具体的な手法を示しました。

 これを受けて企画部会の委員からは、「議論を国民・農民レベルまで広げていかないと、我々だけのむなしいものになりかねない」、「農村のビジョンがない」、「食料自給率をどうするかが本論だ」などの意見が出されました。

 意見交換のなかで生源寺部会長は、株式会社の農地取得について、中間論点整理では結論を出さず、さらに議論を深めていく検討課題にとどめる考えを明らかにしました。また委員からは、農業を環境保全型に転換していくために、「環境支払い」というあらたな助成措置の導入を求める意見が出されました。

 8月10日に中間論点整理

 企画部会では、この「骨子案」をたたき台に八月十日に中間論点整理を決定、本審議会でも確認する予定。農水省は、中間論点整理のなかで実行可能な施策提言については、来年度の予算要求・制度改定に盛り込んでいく方針です。また、中間論点整理を受けて、八月三十日に仙台市で、九月七日に岡山市でそれぞれ地方公聴会を開くことにしています。

(新聞「農民」2004.8.2付)
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2004年8月

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