「農民」記事データベース20040802-646-01

米価下落くいとめよ

緊急対策を迫る幅広い共同を

関連/政府は直ちに米価暴落対策をとれ!「8・11中央行動」

 「政府古米の放出をストップしろ」「計画に見合う備蓄米の買い入れを」――農民連は七月二十一日、底なしの様相の米価下落をくいとめる緊急対策を農水省に要請しました。しかし交渉を通して浮き彫りになったのは、「米改革」による主食・米に対する責任放棄。農民連は、政府に緊急対策の実行を迫る幅広い共同を呼びかけるとともに、八月十一日には農水省前での大衆要請行動や農水省交渉を予定しています。


農民連が具体的事実示し農水省交渉

無責任極まりない政府姿勢

 まったく先が見えない米価

 七月二十二日に行われた〇四年産の第一回入札では、本来高値で売れるはずの超早場米の宮崎産コシヒカリが、六月の〇三年産米入札の総加重平均を下回りました。産地では、「どこまで下がるんだ」という怒りとともに、「まったく先が見えない」「意欲がなくなる」といった声が広がっています。

 米価下落の直接の要因は、落札残が約三割も出たことからわかるとおり、大量に在庫を抱える米卸の買いびかえ。しかし大もとには、米の需給と価格の安定に対する政府の責任を完全に放棄した「米改革」と、不作に乗じて大量放出された政府古米があります。

 いま求められている緊急対策は、これらをやめるとともに備蓄計画どおり政府米を買い入れること。そして、ミニマム・アクセス米(MA米)を削減・廃止し、大手業者の買い占めなどを規制することです。

 政府責任で備蓄米確保を

 六月末の政府米の備蓄数量は六十万トン。政府自ら決めた適正水準の百万トンを大きく下回っています。しかも農民連の要求で明らかにした政府米の年産別 内訳は別表のとおり。超古米を除けば、「ない」に等しい水準です。

 
6月末政府備蓄米の年産別内訳(万トン)
年産
数量
97
24
98
17
99
16
00
1
01
0
02
1
03
1

 緊急に政府米の買い入れを行うことは、不測の事態への備えとともに、差し迫った米価下落に対する有効な対策です。ところが農水省の回答は無責任極まるものでした。

 農(農民連) 政府は備蓄計画に見合う米の買い入れをただちに行え。

 省(農水省) 業者などが持つ在庫が通常の二倍程度あるし、米需要がすぐに伸びることもない。安定供給に支障はない。

  業者が持っている米はいざという時の備えにならない。政府米を百万トン備蓄するという方針を放棄するのか。

  徐々にそれに近づける。〇三年産の買い入れは六千トンにとどまっているが、十万トンの枠がある。売りたい方はどうぞ売っていただきたい。

  備蓄米を確保するのは政府の責任だ。いま中小の卸や街の米屋はだぶついた在庫に困っている。その米を含めて買い入れれば、備蓄米を確保でき、米価対策にもなる。

  〇四年産はおそらく下がる。需要が減っているのに、米ばかり作り続けているからだ。

  農家をバカにするのか!

 エサ用の97年産米の売却やめよ

 「米改革」で自らの責任を投げ捨てて、米を市場原理にほうり込み、米価の下落にも「高みの見物」を決めこむ農水省。その一方で、業者に対しては微に入り細に入り思いやる姿勢が鮮明です。

  「米改革」を中止せよ。まずは「大処分セール」ともいえる政府古米の放出、とくにエサに回すはずだった九七年産の超古米の売却をやめよ。

  九七年産は需要がある。買いたい人がいるのに売らないわけにはいかない。誰かに古米を食べてもらわないと備蓄は運営できない。

  政府の方針は、古米需要にこたえることが最優先なのか! 消費者は、九七年産を食べているとは思っていない。まずい古米が、米離れを加速している。古米を買っている業者名を公表しろ。

  業者のブレンドノウハウを保護する必要があるので公表できない。

  超古米でもうけている業者は保護するが、農家や消費者はどうでもいいということか!

 大手業者への規制何もせず

 昨年は、一部の大手業者の買い占めで、一時的に米価が高騰、中小の米卸や街の米屋さんが新米を手に入れられない事態になりました。農民連が具体的な事実を示して、大手に対する規制を要求したにもかかわらず、手をこまねいて何もしなかった農水省。その責任を追及されると、「今年四月の着任以前のことはよくわからない」と担当者。さらに「一般論として、不作時に一部の業者がたくさん米を買ったとしても、法律にふれる行為とは言い切れない」などと手を打たなかったことを弁明しました。

 MA米の削減・廃止の問題は、WTO交渉が枠組み合意に向けて大詰めを迎えているもとで、最もホットな問題です。しかし農水省は、この問題でも「MA米は国内需給に影響を与えていない」との従来の答弁を繰り返しました。

 「稲作を守れ」の声を大きく

 農民連が求める緊急対策は、農家はもとより、農協や米流通業者、そして安定供給を願う消費者の要求でもあります。三月に開かれた農水省の審議会(食料・農業・農村政策審議会食糧部会)でも、「政府も気前良く(政府米を)売り過ぎた。…万一不作の場合はどうするのか」「適正水準が百万トンである以上、政府は買い入れ行動を起こすべき」との意見が、複数の委員から上がりました。

 いま全国津々浦々で草の根の共同を広げ、米価下落をくいとめる緊急対策を政府に強く迫り、「日本の稲作を守れ」の声を大きくあげていくときです。


政府は直ちに米価暴落対策をとれ!「8・11中央行動」

日  時 8月11日11時45分 農水省正面集合
行動内容 12時〜12時45分 農水省要請行動
     13時45分〜15時 農水省交渉
     15時30分〜16時45分 意思統一集会
     ※地域でいっせいに行動を広げ、「中央行動」に終結しよう

(新聞「農民」2004.8.2付)
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2004年8月

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