『きくまの民話と伝説』愛媛県菊間町
ヨコロちゅう妖怪(ようかい)(西海岸)今は少のうなっとるけんど、私らがこんまいじぶんになあ、水尻やら西海岸やらに松葉ぐろがぎょうさんありました。その松葉ぐろの並んどる形は、ちようど家並みのようで、そりゃあ見事なもんでした。その松葉ぐろのくらあい蔭から、毎晩のように妖怪が出て、ほて、そこらあたりの人を怖(こわ)がらせとりました。化物はなあ、「ヨコロ」ちゅうて、白おぅい丸ぅいフワーッとしたもんじゃそうで、とくに月の無い暗あい晩に、一人歩きの子供を見つけると、スーッと音もなしに寄って来て、足に吸いついて離れんようになるんじゃそうな。吸いつかれるとなあ、体はしびれ、足はすくみ、歩けんようになるんじゃそうです。 そいでもなあ、明るいとことか家の前(まえ)いまで来ると、知らんまあに消えとるんじゃそうです。ほじゃから買いもんとか近所に用がある時なんかはなあ、明るいとこ灯(ひ)ぃのあるとこを目当てに一目散に走って帰りよりました。 そがいな松葉ぐろもこのごろ少のうなって、「ヨコロ」 も、 でにくうなったようです。 (「きくまの民話と伝説」より。話者は村上照子さん) (四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合、写真は大道さんが撮影)
(新聞「農民」2004.6.21付)
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[2004年6月]
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