キューバ紀行(7)着実に発展する姿みられた旅
今回の旅行で、キューバが、一九九〇年から食糧難で餓死者が出かねないような深刻な事態から危機を乗り越え、着実に発展している実際を見ることができました。 今年で創立一〇〇年を迎える熱帯農業基礎研究所では、肥料が少なくてすむ多収穫の種子をはじめ、ミミズを使った堆肥づくり、バチルスやボーバリア菌による微生物農薬、ヤドリバエなど天敵昆虫の利用などの研究を協同組合や農家に広め、落ち込んだ生産量を回復させました。 ミミズは、「アメリカ人よりよく働く」というカリフォルニア赤ミミズ。人口二百二十万人が住む首都ハバナでは、生ごみを堆肥に変え、オルガノポロニという野菜農園をつくりました。キューバの有機農業は、極度の食糧難との苦闘のなかから発展してきたことを知りました。 キューバでは、米やいもを主体にした伝統食があり、米の一人あたりの消費量は、日本とほぼ同じくらいだそうですが、まだ米の必要量の半分以上をベトナム、タイなどからの輸入にたよっているとのことです。 そこで政府は、農民の生産意欲を高めるために、さまざまな努力をしています。その一つに、協同組合を作っていますが、参加は農民の自由意思に任せているそうです。国立小農民協会(ANAP)のゴンザレス国際部長さん(写真〈写真はありません〉)の話では、全国に百七十六あるというこの協同組合に、資金の貸付と農業機械などのサービスを行って支援しています。この国立小農民協会は、二〇〇一年に世界各国の農民が参加する食糧主権フォーラムを主催しました。テーマは、「WTOから農業をはずせ! 遺伝子組み換えはやめろ!」だったそうです。 短い期間の旅行で、農業関連の政府・研究所・農民組合・農場などを訪問見学しただけでも、キューバの農業が着実に発展していること、そしてこれからもさまざまな困難を乗り越えて発展していくのではないかと感じました。また旅行中に出会ったキューバの人たちの明るい表情やしぐさが強く印象に残りました。 (蓮見敏夫) (この連載は今回で終わります)
(新聞「農民」2004.6.14付)
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[2004年6月]
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