04年 わが家の米作りと田んぼ
孵化を手伝うハメに五月は気温が上がらず、しかも中旬は梅雨入りしたようなうっとうしい日が続きました。下旬になって天候も回復し、わが家の田植えも五月末までには終了。連休すぎに植えた稲は、そろそろ茎数が数えられるころなのですが、例年にくらべるとやや寂しいようです。「今年も低温や」「いや、今年は高温や」と百姓はやはり出穂前後の天候が気になります。そんな五月中旬にハプニングがおきました。そろそろ草刈りの時期。草の中にはどんな生き物がいるかなと、畔の散策をしていると、突然、カルガモが畔から田んぼに飛び降りました。泳ぐでもなく、飛び立つでもなく、羽をバタバタさせながら田んぼの中を走り回るその姿は、こっけいとしか言い様がありません。「何にもしないよ」と叫んでみても、鴨には私の気持ちが通じない。ふと足元を見ると、九個の卵が並んだ巣が目に入りました。極限まで身を潜め、田んぼに飛び降りた親鴨を思うと、いじらしくなります。 翌日、巣のある一角を残して草刈りしようと出かけ、今度は注意深く巣をのぞくと鴨は不在。驚いたことに卵が十個に増えています。 草刈りも終わろうとするころ、カラスが何かをくわえて飛び立つのが目に入りました。急いで巣を見に行くと、卵が五個しかありません。すごくショックでした。どうしたものかと迷っていると、またカラスが舞い戻ってきて、追い払っても逃げません。後のことも考えずに、とりあえず卵を家に持ち帰りました。 日も暮れるころ、親鴨が巣に帰ってきましたが、卵がないことに気づくと、昨日のいじらしさとは打って変わって、なんのためらいもなく飛び去りました。鴨にとっては単なる一つの出来事にすぎないのでしょうか。 そんなわけで、卵の人工孵(ふ)化に取り組むハメに。四週間くらいで孵化するそうです。かわいいカルガモの雛を紹介できるかも…。 (牧田孝允)
(新聞「農民」2004.6.14付)
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[2004年6月]
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