「農民」記事データベース20040614-639-07

モンサント社の遺伝子組み換え小麦の開発中止

勝利祝う

反対の声が大きな力に

 モンサント社の遺伝子組み換え小麦開発中止祝賀パーティーが、五月二十七日、東京都内で開かれました。主催は「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」。同時にモンサント社から特許権侵害で訴えられていたカナダのナタネ農家、パーシー・シュマイザーさんの最高裁判決の報告会も行われました。


 同キャンペーン代表の天笠啓祐さんが、遺伝子組み換え小麦の開発中止までの経緯を報告。アメリカとカナダでも反対運動が広がっており、とくにカナダでは小麦を一手に扱う準公的機関のカナダ小麦局が反対しています。同キャンペーンなどが四百十四団体の反対署名を携えて訪米・訪加し、日本の消費者の強い反対の声を伝えたことが大きな力になったと述べました。

 実際、パーティーには、カナダ小麦局の日本出張所から、森田茂逕さんがメッセージを携えて出席。「遺伝子組み換えに反対するみなさんの行動が、開発中止の大きな力になった」とのメッセージを伝えると、割れんばかりの拍手が送られました。

 また日本でも、小麦輸入の二大窓口の一つである製粉協会が、組み換え小麦反対の姿勢を明らかにしており、「われわれ製粉産業も、これで消費者に安心していただけるパン麺など小麦製品を届けることができます」との丁寧なメッセージを寄せました。

 続いて、五月二十一日に下されたシュマイザーさんの判決について、現地で傍聴していた清水亮子さんが詳細を報告。シュマイザーさんは遺伝子組み換えナタネを播種したことは一度もないのに、花粉の飛来によって組み換えナタネができてしまい、モンサントから「特許権を侵害した」として訴えられていました。

 結果は、残念ながらシュマイザーさんの敗訴。賠償金や裁判費用の敗者負担などはなく、裁判官の判断も五対四と僅差でした。カナダのNGOは「遺伝子に特許権を認め、それが所有権全体におよぶという点も認められた、とんでもない判決」として、今後もたたかっていく姿勢だと、清水さんは述べました。

 また現在、カナダでのナタネの遺伝子汚染は非常に深刻で、組み換えでないはずの種子も汚染されており、今後、有機農家による集団訴訟が運動の大きな山場になるとを語りました。

 この後、「土を愛する会」が準備した数々のパンやホットケーキ、ドーナツなど小麦を使った食べ物を堪能して、開発中止の勝利を祝いました。

(新聞「農民」2004.6.14付)
ライン

2004年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2004, 農民運動全国連合会