全国食健連第15回総会
「食料自給率向上の国民署名」進めよう
農村で職場で広く
地産地消・学校給食…幅広い共同さらに
政治を転換させる大きな力
食料自給率向上を求める「国民署名」を軸に、創意を生かした多様な運動を大胆に広げよう――全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は五月二十三、二十四日、都内で第十五回総会を開きました。
四月に農民連とともに「国際シンポジウム」を成功させ、「世界でも、国内でも力関係を変えていける」との確信を深めて開かれた総会。二十三都府県と二十二の中央団体から百人以上が参加し、来年の総会までに当面百万人分の「食料自給率向上を求める国民署名」に取り組むことなどを確認しました。
国際シンポの成功に確信もつ
「国民署名」への共感や実践への意欲的な発言が相次いだ討論では、学校給食での地産地消の取り組みやBSEの問題など、さまざまなテーマと内容で三十三人が発言。幅広い共同の運動を、地域で広げる決意と熱気で会場が沸きたちました。
「久しぶりに興奮し、気持ちが高まった」。国際シンポジウムの感想を述べた新婦人千葉県本部の浅利勝美さんは、「WTOで世界の農民が苦しめられ、その根っこがつながっていることが鮮明になった。産直の取り組みが、単に丈夫な体を作ることや農業を守るだけでなく、世界と日本の政治を変えることになると実感し、展望がわいてきた」と生き生きと発言。
また、「自給率国民署名に共感した」という新婦人茨城県本部の武藤キヨ子さんは、「署名を本格的に浸透させて政治を変える力にしたい。草の根で広げるには地域の食健連が必要。労働組合と協力し、調理するひまもないような働き方の見直しや、食教育で地域や行政とも連携して運動したい」と力強く語りました。
高まる不安・危機感や怒り
長野食健連の岩上昭亞さんは、三月に、飯山市の農業委員会、農協、農協労、農協女性部、教育委員会など、幅広い二十七団体、二百十人の参加で「農業・食料と健康を考えるつどい」を成功させた経験を報告。農協専務が、「共通項で協力し、食糧と健康を守る場になれば」とあいさつしたことなどを紹介しました。
この「つどい」について県農民連の宮沢国夫事務局長も、「思想、信条を超えて、食の安全と地域農業を守る点で成功した根底に、効率と利潤追求による食の不安の高まりと、ものを作らせない政策などへの危機感や怒りがある。食と農を守る共同の条件は、どんな地域でも着実に広がっており、幅広い取り組みが大切」と強調。
さらに、愛媛食健連の大野政信さんも、「農民連が愛媛市や農協と一緒に“学校給食祭り”を開き千七百五十人が参加。年一回だけではもったいないという声があがっている」と紹介するなど、各地で進む幅広い共同のとりくみが語られました。
地域食健連結成日常的な運動を
全国食健連の坂口正明事務局長は、総会への報告で、「日常的な草の根からの運動が、政策の転換と地産地消の発展につながる。定期的な会議とニュースの発行、定期宣伝の三つの活動が大切」と地域での日常的な活動を提起。
討論でも、WTO、食糧主権、米の備蓄、農村の実情などをテーマにした学習を各地域で繰り返し行っている大阪食農府民会議や、地域食健連で学校給食のシンポジウムを計画している千葉県食健連が発言。また、都内でも地域食健連結成に向けて、「食の安全と地域経済を考えるシンポジウム」を計画している東京・大田区の取り組みも報告されました。
さらに、国際シンポジウムの成果を伝えるダイジェストビデオの作成の要望も出されるなど、食と農を守る運動を広げるための積極的な発言が相次ぎした。
まとめで、坂口事務局長は、「食料自給率の向上は参議院選挙でも争点になる。選挙のなかでも、生産を発展させる政策に転換させる運動として、署名を幅広く訴えよう」と呼びかけ、農民連と産直協が八月に結成する「農民連ふるさとネットワーク」(仮称)についても、「政府の農業つぶしに対抗し、自給率を高める結節点になる」と強調しました。
総会では日本共産党の岩佐恵美参議院議員が来賓あいさつしました。
(新聞「農民」2004.6.7付)
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