キューバ紀行(5)
飢餓国民救う政府、日本と大違い「農民連のみなさんと行くキューバの旅」というツアー名を見て、行ってみたいと思いました。農業の人と話ができて、その上もう一度行きたかったキューバに行ける。一石二鳥だと思ったのです。シックハウス(化学物質過敏症)で、農薬の有無を敏感に感じ取ってしまう私には、有機農法と聞いて願ってもないように思えました。年中、生き物が好きで、そこかしこの植物を見歩いていると、野生の生物はとても化学物質や電磁波などに敏感で、生死を賭けて生きています。それが自分と比べ合わせ共感するのです。 今回のキューバは、約二〇年前と比べ、見たところ落ち着いているように思えました。以前バスの故障で、五、六時間、猛暑の道路で待たされたようなボロのバスではなく、立派なものでした。ラテンのスペイン色の強いこの国の人々は、ストレートでくよくよしないように思えました。 農務省の人や研究所の話を聞き、大国アメリカからの経済封鎖、ソ連崩壊で農薬・肥料など援助のなくなった今、飢餓が大量にでることから脱却し、食料を有機農法という形で成功させ、国民を救っているこの国の政府は、我が国と比べ百八十度の違いがありました。うらやましいことを通り過ぎ、移住したいなどと話し合ったりしたのですが、それは無理でした。結婚した相手がキューバ人の人だけのようです。既婚者やシルバーの私たちはあきらめました。 国の人口の八〇%が住む首都ハバナに、空き地を耕し有機の畑にした農家、都市郊外の農家の人たちのトロピカル果物が、たくさん用意された家に行ってご馳走になりながら、農業をしている誇りを感じ取りました。(写真〈写真はありません〉) 日本でも、農家と消費者が庭で一緒に話せたり食べたり働いたりしながら、交流できるようなところがたくさんできるような余裕のある農業行政になると、いいと思いました。 農民連のみなさんの話を聞き、ひどい政策の中で努力していらっしゃることに、とても新鮮で少し目が覚めるような気がしました。 (定森美子)
(新聞「農民」2004.5.31付)
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[2004年5月]
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