『きくまの民話と伝説』愛媛県菊間町
「そにおった」とゆう呪い(西海岸)タヌキがな、堤燈(ちょうちん)つけて、づーっとあそこの、マイジョ(西海岸のあたり)の境をな。こよにこよに、灯(ひ)ぃがぎょうさん列になって、歩くんじゃとい。 タヌキが人を化かしちゃろ思たらな、そっちの方い指動かして、こよにしたら、こっちいき、あよにしたらあっちいき、するんじゃとい。 ほれから、化かされたもんを捜しにいく時はな、こうゆう呪(まじな)い言葉をゆうたらえゝんじゃそうな。大きい声で。 「そにおった。」ゆうたら、狸は化かしよるのを止めて、離してくれるんじゃとい。 みいなが鐘と太鼓でなあ、おらんようになったもんの名ぁを大声で叫びながら、ドンドンドン、チンチンチン、 「そにおった。」ドンドンドン、チンチンチン、 「そにおった。」ゆうて廻りよる内になあ、藪の中やら田圃の中から、知らんまーに、ゴゾゴゾッと出て来て、キョトン……と、しとるんじゃとい。 (「きくまんの民話と伝説」より。話者は村上照子さん)
(四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合)
(新聞「農民」2004.5.31付)
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[2004年5月]
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