04年 わが家の米作りと田んぼ
環境に優しい育苗法私が保温折衷苗代のように田んぼで育苗をするようになって六年。成苗植えにしたいとの思いから、十年ほど前から播種も自分でするようになりました。発芽装置を持たないので最初はハウスを利用していましたが、思い切って、田んぼでの育苗に切り換えました。今年の育苗はすこぶる順調です。十日ほどで保温シートを取ると、緑色のきれいな苗が見えます。田んぼの一部をため池にして水を温め、育苗箱に温かくなった水が入るようにしておきます。これで田植えの時まで潅水などというわずらわしい作業をしなくて済む。なんとも省エネで環境に優しい育苗法ではないかと我ながら自負しています。 今、田植え前の農作業でいずこの百姓も忙しそうにしています。でも私は緑のない田植え前の田園風景を見るたびに、心が沈んでしまいます。いつからでしょうか、畔や農道に除草剤が撒かれるようになったのは…。 先日、私の妻に、草のない畑を見て「除草剤を撒いたのか」と聞いた百姓の奥さんがいました。苦労して草を手取りした妻は、草がないとすぐに除草剤を撒いたと考えられてしまうことに、すごく憤慨してその話をしていました。 それにつけても、除草剤や畔・農道の草を考えてみることも今必要ではないでしょうか。「畔や農道の草の中には様々な生き物や微生物が住んでいる。僕は環境や生態系を大切にしたいので、土が見えてしまうようには草を刈らない」と言う三十ヘクタールを無農薬栽培しているFさんの話には心をうたれます。 私の田んぼの畔や農道には今、草が生い茂っています。そしてタンポポが一面に黄色い花を咲かせています。私は自分の田んぼにいるとホッとすると同時に安らぎを感じます。また、時々近くの人がヨモギやノビリを摘みに来ている風景をみて、心がなごみます。 米価算定には、畔・溝畔の草刈り労賃は含まれていないといいます。「草刈り労賃を認めよ」の要求を掲げていくことも、いま大切な運動の一つではないでしょうか。 (石川農民連 牧田孝允)
(新聞「農民」2004.5.17付)
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[2004年5月]
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