04年 わが家の米作りと田んぼ
温湯殺菌と私の思い三月下旬にもなれば育苗の準備で大忙しです。兼業農家の私は、この時期少々早起きして、毎日ぼちぼち作業します。作業をしながら考えるのは、今年の米作りや今後の農業のあり方。その一つが農薬のことです。日本の農薬使用量は、一平方キロ当たり一・五トンで世界一といわれ、その約三分の二が水田に使われます。「農薬は土に還元されて微生物によって分解される」と解説する人もいますが、農薬が大量使用されるようになって半世紀、田んぼで生まれ育つ多くの生き物や微生物が姿を消した事実をどう考えたらよいのでしょうか。私は、いつか自然界からしっぺ返しされるのではと憂えています。 食の安全性に対する関心がますます強まるなか、二十一世紀は、歴史的に守られ育てられてきた水田と稲作技術を継承・発展させ、後世に残していく時代です。主食・米まで市場原理にゆだねる「米改革」が動き出しましたが、利潤追求の農業やそのための技術開発を考え直す時ではないでしょうか。 農薬を使わない、温湯殺菌(温湯浸法)による種子消毒の技術は、農家によって試され、失敗の教訓もふまえて実践的に完成された技術です。農試や研究機関のデータによれば、六十度十分前後の浸漬で農薬使用と同等か、それ以上の結果がえられています。最近は、いくつかの農協も採用しており、この技術開発は画期的で教訓的なことだと思っています。 紙面の都合で手順を紹介できませんが、温湯殺菌は作業手順を守らないと効果が低下し、発芽障害を起こす場合があります。また、品種によって浸漬温度や時間を考慮する必要があり、詳しくは『無農薬・有機栽培のための育苗技術』(NPO法人民間稲作研究所編)を参考にして下さい。 (石川農民連 牧田孝允)
(新聞「農民」2004.4.12付)
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[2004年4月]
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