村落の安全、豊作願い鬼の的を射る「弓祈祷」(愛媛県菊間町)
愛媛県菊間町西山の客神社で二月十一日、伝統行事の「弓祈祷(きとう)」(町指定無形民俗文化財)が行われました。この儀式は、村落の安全と五穀豊穣を祈願して弓矢で鬼の的を射る行事(写真〈写真はありません〉)で、毎年旧正月十日のこの日に行われています。 弓祈祷の歴史を調べて本を出版した石山融さんによると、始まったのは一七三五年前後だそうです。一七三二年は暖冬で春先から雨が多く、軟弱に育った麦に赤サビ病が発生、さらに収穫期が梅雨入りと重なりました。また稲は、田植え後に長雨が続き、そのうえ秋ウンカが大発生。農家たちは、このような大飢饉に二度と遭遇しないようにと、庄屋を中心に思いをめぐらし、弓祈祷を始めました。 前日、その年の当番組が、大中小の鬼の的と矢を作り、神社の境内に射場を準備します。当日は、かみしも姿に身を整えた三人の射手が、ご祈祷の後、一人三十六本ずつ矢を放ちます。的に命中すると、まわりから大きな拍手がまき起こっていました。 射手の一人、石山幸生くんは「二回目だが、今年は寒くなくてよかった」と。また、使った矢は子どもたちにプレゼントするため、競い合って拾い、家に飾って魔よけにするそうです。そうして大人になったら、今度は射手として参加するということで、先祖の行事が次代へと受け継がれています。 (四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合)
(新聞「農民」2004.3.29付)
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[2004年3月]
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