地域住民と密着した運動を基礎に中山間地の介護ネットワークづくりリハビリ介護研究所 宮田喜代志さんの報告
リハビリ介護研究所の宮田喜代志さん(熊本市在住・元県連事務局長)は、三月八日、農林水産省の農林水産政策研究所(東京・北区)で開かれた特別研究会で、「中山間地における『介護ネットワーク』形成に関する考察」と題して、報告しました。その内容を紹介します。 宮田さんが事務長をつとめるリハビリ介護研究所は、どこのサービス提供事業所にも所属せず、ケアマネジメント事業だけでやっている、いわゆる独立型の居宅介護支援事業所です。この方式は、「リハ研方式」と呼ばれるユニークなもので、「利用者本位のケアマネジメント」を目標に、複数のケアマネージャーが毎週一回集まってケース検討会議を開いています。 介護保険制度がスタートして四年がたち、五年目にむけて制度の見直しが検討されています。社会保険方式を取り入れた介護保険制度は、それまでの行政主導による「措置サービス」から、「契約」によるサービス利用に移り、介護の世界に市場原理による「競争」を導入して、サービスの質の向上をはかり「自由な選択」ができる、 と言われてきました。 しかし過疎の進む中山間地=農村地域では、介護サービスをになう病院や施設・事業所が著しく不足しているもとで市場原理が機能しておらず、農村福祉にあらたな課題がつきつけられています。 宮田さんは、熊本県の農村地域で行った実態調査をもとに、医療・保健・福祉の施設・事業所などが連携する「介護ネットワーク」づくり=「上手なシェアリング」を提唱しています。この運動の基礎は、住民との密接な人間関係、住民密着を強める運動です。宮田さんは、その事例として、熊本県の清和村で行われている社会福祉協議会を中心とした取り組みをあげました。 清和村社会福祉協議会は、無医村という地域のなかで、共存共栄の村づくりという住民のつながりをもとに、赤ちゃんからお年寄りまで三百六十五日・二十四時間運営を実施。在宅介護支援センターや高齢者センターなどの施設を中心に、「福祉で村おこし・県内一の福祉村」を目標に掲げています。同協議会の坂本憲義事務局長は、マンパワーを農家の奥さんたちが担い、六人のスタッフから農村振興と雇用創出で四十五人に増やすまでになった経過を報告しました。
(新聞「農民」2004.3.29付)
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[2004年3月]
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