「農民」記事データベース20040322-628-10

後継者とパートの青年3人“農業は楽しい”と生き生き

三重・伊勢


同世代に刺激を受けて「今度こそ本腰を入れよう」

 三重県伊勢市にある中西健康農園(代表・中西長市さん=三重県連の副会長)。水田は近隣から米の受委託作業が年々増えて六ヘクタール余り、二ヘクタールの畑では年間通じて四十〜五十種の露地野菜を地元の「健康食品の店」や産直、生協などに出荷しています。いま、ここでは中西さんの息子さんと二人の青年が、米と野菜づくりに生き生きと取り組んでいます。

 中西さんの息子さん・創(はじめ)さんは、三年前、当時勤めていた自動車販売会社の「合理化」でやむなく退職。父親の農業を手伝うようになりましたが、「自分にはあわないのでは」という思いで、昨年三月にその手伝いもやめていました。人手不足にこまった父親の長市さんは、やむなく地元のハローワーク(職安)に「パートでの農業従事者」を募集。これにこたえて集まったのが、二人の青年(山本さんと鷹取さん)でした。

 一方、創さんは就職先を探していましたが、なかなか見つかりません。こんなときに同世代の二人が野菜づくりに従事している姿を見て、昨年十月、「今度は本腰を入れて、農業に従事しよう」と、決意したのでした。そしていま、三人の青年が中心となって野菜作りに取り組み、集荷・販売まで任(まか)されるようになってきたのです。

 安全・安心な野菜を消費者に届けようと努力している中西健康農園の野菜をおさめている「健康食品の店」が発信元となって、近所の幼稚園の給食用に、またこだわりレストランの食材に、「ぜひ中西さんの野菜を使いたい」という注文が飛び込んでくるようになりました。創さんはいま、県の認証制度「エコファーマー」を取得して、今まで以上に減農薬や有機栽培にこだわった野菜づくりに挑戦しています。

 三人の青年は、「農作業は、たいへんなところもあるが、やっていて楽しい。テーラーなど耕運機を使って、これまでにやったことのない農作業をうまくやれるようになりたい」と、生き生きと話します。

 意欲育て励ます支援体制確立を

 最近、伊勢市内の商店街や生協店の前で、新鮮な野菜とおばあさんがつけた漬物など加工品の直売をはじめました。「お客さんに声をかけてもらうことが、なによりうれしいし、やっていて楽しい」―こう言う青年たちをあたたかく見守る父親の長市さんは、「任せられるようになるまでには三年かかる。野菜は価格の上げ下げが激しく、なかなか思ったような収益があがらない。若い人たちにもっとお金をあげたいのだが…。技術的にも財政的にも行政からの支援が必要」と。こうした青年の意欲を育て励ましていく支援体制の確立が、求められています。

(新聞「農民」2004.3.22付)
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2004年3月

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