演劇別役実の新作「千年の三人姉妹」チェーホフ劇を新しい視点で
チェーホフといえば、「三人姉妹」「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「桜の園」という四大劇でも知られる劇作家。ことしは没後百周年ということでさまざまな記念事業が展開されます。その第一弾として上演されるのが、アートスファイで上演される、別役実・作、藤原新平・演出による「千年の三人姉妹」です。 チェーホフの「三人姉妹」は、日本でも数多く上演され、おなじみになっていますが、一九〇一年モスクワ芸術座で初演された作品。有名な将軍の娘で、地方都市に住むオーリガ、マーシャ、イリーナの三人姉妹。彼女たちはモスクワへ帰ることを夢見ているが、現実は無為な日々を送るばかりです。その「三人姉妹」を別役実が独自の解釈によって大胆に書き下ろしたのが、今回の作品です。 物語は、ある田舎町の裏街道にある館を舞台に展開されていきます。かつては京の都で貴族として華やかな暮らしを送っていた三人の姉妹。しかし、父を失った今は、下層民を相手に過ごす日々、いつしか世間だけでなく、姉妹自身も本来の身分が貴族であったかどうかも曖昧になっていきます…。 作者の別役実さんは四十年以上、第一線で戯曲を書き続けており、不条理劇の作者としても有名。百本を超えたいまもなお、新しい視点での創作に意欲を燃やしています。今回の作品について「時代のダイナミティのとらえかたというのが、ロシアと日本でかなり違うだろうということで、射程をバーンと千年に伸ばしました。平安京の王朝時代から今日まで、三人の姉妹が延々と都に帰ることに憧れながら生きている。射程を延ばしたのが新しいところです」「ラストの現代まで同じ人物たちが生き続けてきたということですね。直線的に貫いているのは都に帰りさえすれば何とかなるという形。執念ですね。それから原作のオーリガの最初と最後の台詞も使おうということにしています」といいます。 出演は、オリエ(オーリガ)に楠侑子、マツエ(マーシャ)に三田和代、イリエ(イリーナ)に吉野佳子、そのほか、金内喜久夫、大浦みずき、小林勝也、伊藤巴子ら多彩な面々。チェーホフの世界が別役劇となって新しく生まれる舞台、どのような実験作となるのか楽しみです。 (鈴木太郎)
*3月20日〜26日、東京・天王洲アイル・アートスフィア。連絡先=電話03(5460)9999 (新聞「農民」2004.3.22付)
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[2004年3月]
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