「米改革」推進=ビジョン作りに矛盾続々悲鳴あげる自治体JA担当者
さらなる輸入自由化の地ならしとして、政府が進める農業構造改革。その主柱となる「米改革」は、国が米の安定供給から手を引き、多くの農民を生産から締め出す強制リストラ策。財界の意向を受けたFTA(自由貿易協定)締結が加速されるなか、「米改革」も加速しています。 農水省は、四月の「米改革」スタートに向け、農民リストラの具体案ともいえる「地域水田農業ビジョン」作成を自治体などに強制しており、各地でJAや自治体担当者、農家との矛盾が吹き出しています。 高齢化が進み、山間地の田んぼをかかえる岐阜県飛騨地方の自治体職員は、「やらなくていいならビジョンを作りたくない。高齢化で担い手農家もいない。イノシシやシカ、サルの被害が広がるなかでどうすればよいか」と苦悩を語ります。 農協の職員も、「“売れる米”と言うが、山間地で日照時間が短い水田でコシヒカリは作れない。“売れる米”だけ進めたら農協がつぶれる。農家にどう説明すれば良いか、針のムシロに座る思いだ」。農業改良普及センター職員も、「こんな田舎で米改革を押し付けられれば田が荒れてしまう」とこぼします。 地域説明会では、「二〇一〇年からは自主減反と言うが、六年後には見捨てられるのか」と農家が質問。参加者は「作るなということか」と口々に話したといいます。 茨城県南地方のある地域説明会では百戸のうち出席は六戸。内容も「減反配分は面積から数量になり、“売れる米”を作る政策になった」と一時間ほど説明しただけ。ビジョンは配布せず、説明もありませんでした。 出席した農家がビジョンについて質問すると、「持参していないが県には提出した」と返答。町の担当者は、「二〇〇六年で減反の補助金はなくなるだろう。減反も強制ではなくなる。今までの減反に、どんな意味があったのか」とこぼしました。 後日、農民連の会員がビジョンを受け取りに町役場に行くと、「あくまで案。出さないといけないので農協と協議して作った」と、担当者も苦渋に満ちた顔で語っていたと言います。 農民を米作りから締め出し、地域農業を破壊する「米改革」ではなく、自給率を向上させ、稲作を再生する方向に転換すべき時です。
(新聞「農民」2004.3.22付)
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[2004年3月]
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