演劇貴重な財産演目の2本劇団手織座創立50周年記念公演「よろこび」「証言台」
劇団手織座は創立五十周年記念公演として、「創立者・八田尚之の世界」と題して「よろこび」と「証言台」の二本を上演します。八田尚之は一九〇五年、北海道小樽市生まれ。映画シナリオ作家として活躍、『若い人』『泣虫小僧』などの数々の作品を手がけました。丸山定夫、藤原釜足、徳川夢声などと苦楽座を四一年に結成した後、妻で女優の宝生あやことともに手織座を五三年に創立。演出を手がける一方、劇作家として十六本の作品を手織座のために書き下ろしました。六四年に狭心症のために急逝。享年五十八歳でした。 今回上演される「よろこび」「証言台」は、劇団にとっては貴重な財産演目のひとつ。六〇年の上演では、両作品の演技で宝生あやこが芸術祭奨励賞受賞に輝いています。 「よろこび」は、北海道奥地の山麓開墾地を舞台に、素朴な農民夫婦の愛情と子育ての様子を滋味あふれる筆致で描かれた喜劇。北山和助と女房のとよは共に働き者。息子の一郎も成績のよい元気者です。そんな家庭にも、善意のある隣人たちとのつきあいの中で隙間風が吹いたりします。秋祭りの日、念願のハーモニカを手にいれた一郎は親からしかられてしまいます。宝生あやこが演出ととよを演じます。和助に真田五郎、隣人の赤松に汐見直行、津軽の銀助に納谷利也ほかの出演。 「証言台」は、戦争犯罪人として処刑された少佐家族の葛藤を描いたサスペンスタッチの作品。死刑に処せられた桐原少佐の後添えの妻・厚子は、歌人・与謝野晶子の門下生、戦争裁判の証言台で、夫の人間性を証明し冤罪(えんざい)を主張します。先妻の娘・真佐子を嫁がせた厚子に、伯父の伊野が明らかにした事実とは――。演出は高瀬久男(文学座)。出演は桐原に汐見直行、厚子に服部妙子、伊野に牧口元美ほかの出演。 宝生あやこさんは、「劇団の名は『縦糸、横糸、一本一本を手で織るような入念な舞台創りを』という思いから命名されたもの。『胸底にしまい忘れた皆の素朴な魂を揺さぶる芝居をつくりたい』がテーマです。今回の作品選びも、その観点から実現したものです。『よろこび』は八田以外には書けない作品。せりふがきちんと書かれた芝居ですので、八田演出を踏襲して、必死になってやっているところ」と語ります。 (鈴木太郎)
*3月10日〜14日、東京・池袋・東京芸術劇場小ホール1。連絡先=劇団TEL03(3393)2721 (新聞「農民」2004.3.8付)
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[2004年3月]
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