「農民」記事データベース20040301-625-15

染絵のかたわらで 無農薬の野菜づくり

愛知・新城農民連青果部会代表 農民画家の谷口茂春さん


題材は家の周りの農村風景

身土不二・スローライフを実践

 屋根の上を猿が遊びまわり、イノシシが庭を走りぬける山里の一軒家。ここに住む農民画家、谷口茂春さんは、私たち愛知・新城農民連の仲間です。

 昔ながらの縁側を持つ自宅の横には、自分で建てた囲炉裏のあるアトリエ。その素朴なたたずまいと染め絵の技術は、新城市の「街中博物館」に指定されています。子どもの絵画教室を開いている奥さんの薫子さん、小学二年生の一人娘、恵菜ちゃんと三人で暮らしています。

 布に染料で絵を描く染め絵。谷口さんの作品には、家のまわりの農村風景を題材にしたものが多く、農山村の自然やそこに住む人々へのやさしい思いが伝わってきます。

 若いころ、役者をめざして上京し、生計のために手描き友禅染の色さしの仕事をしているうちに絵心を持った谷口さん。その後、東京郊外に住むある農民画家にあこがれ、自分もあんな生活をしてみたいと、故郷の三河(愛知県)に帰ってきました。

 十年前に今のところに移り住み、絵を描くかたわら、近所の農家から助言を受けつつ、有機無農薬の野菜作りを始めました。そして一年前に、活動を始めたばかりの新城農民連青果部会に参加。現在は毎週、名古屋の生鮮市に野菜を運び、店でヤキイモを売ってくれています。

 身土不二。環境にできる限り負荷をかけずに暮らしたい――そんな思いを託した百姓仕事、スローライフを実践している谷口さんの目標は、月二万円で暮らすことだそうです。

 「できれば画家として生計を立てたい。でも、そうなっても百姓はやめないだろうな…」という谷口さん。今年一月末の総会では、青果部会の代表に選ばれました。そのユニークさを武器に、新城農民連をどんなふうに引っ張って行ってくれるのか非常に楽しみです。

(東海ブロック編集協力員 野澤優=愛知・新城農民連)

(新聞「農民」2004.3.1付)
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2004年3月

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