「農民」記事データベース20040301-625-13

「きくまの民話と伝説」

愛媛県菊間町


エンコの相撲

 七夕さんがすんだら“エンコ”が引っぱるけん泳ぎにくいな云うじゃろう。

 他所の子がなーあ、家ぃいんで、

 「ひだるいひだるい、なんぞ食べるもんないか!」ゆうたらなあ、お母さんが、

 「なあんもないけんど」……なあ、

 「お仏壇のままでも食べて行け。」ゆうたんじゃとい。ほて、お仏壇のご飯を下ろしてくれてなあ、ほて、それを食べて、川い泳ぎにいたんじゃろ。

 ほしたらエンコが出て来てなあ、エンコが、

 「相撲取ろや。」ゆうけん相撲取った。

 ほたらなーあ、なんぼがしたってエンコが負けるんでなあ、とうどう、

 「お前は仏様のまま食べとるけんもうあかん。」ゆうてエンコが引っこんだとい。エンコは、「子供を引っぱっていんで尻をぬいちゃろ!」……と思とったのに、残念そうな顔で水ん中い、いんでしもたんじゃとい。

 子供が勝ってエンコが負けた。はーなーし……。

(「きくまの民話と伝説」より。話者は村上照子さん)
(四国ブロック編集協力員大道法幸=愛媛・菊間農民組合)

(新聞「農民」2004.3.1付)
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2004年3月

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