「農民」記事データベース20040209-622-14

「キューバの農業」

アジア・アフリカ研究所所員 新藤通弘氏の講演/(要旨)


食料の輸入減めざし食料増産を第一に

 キューバは、千万トンの農業生産量があり、三百万トンが砂糖、七百万トンが野菜・根菜類。そのうち三百七十万トンの野菜・根菜類を都市農業で生産しています。

 九〇年以降、ソ連経済が困難に陥ると、石油や農業資材の輸入が半分〜四分の一に激減。機械が大幅に使えなくなり、家畜と人による作業に頼るようになりました。そして一農場一万五千ヘクタール、五〜六千人という大規模な国営農場を、九三年から七百〜八百人程度の協同組合農場にしていきました。

 都市農業そのものは八七年から、資材・農産物流通の問題を解決する方法として考えられていましたが、九一年に国が家庭菜園を認め、九五年から都市農業を推進。都市農業とは、キューバでは、(1)ハバナ首都圏及びハバナ県全体、(2)その他十二県の県都の中心から十キロメートル周辺の地域、(3)一六九の基礎行政区(Municipal)の中心から五キロ周辺の地域、(4)千人以上の村落の中心から二キロ周辺の地域、(5)千人以下であるが隣接した村落の生産、この五つの概念に合うものをいいます。

 都市農業の中に有機農業がありますが、これは全農産物生産量の一%ほど。砂糖を三百万トン輸出し、四億五千万ドルにしかならない一方で、食料を七〜八億ドルも輸入しているキューバは今、サトウキビの作付面積二百十五万ヘクタールを八十二万ヘクタールに減らし、国際競争力あるサトウキビ生産だけを残して食料生産に切り替え、食料の輸入を一億ドル以下にすることを目指しています。

 今のキューバにとっては食料増産が第一。そのため、一般の農業とともに身近な有機資材を有効に活用する都市農業とを総合的に結合させようとしています。

(新聞「農民」2004.2.9付)
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2004年2月

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