「堆肥」を考える農の会 研究会と総会「土壌の生態系豊かにする」「作物自身の力引き出す」 活発に討論、意見交換
行政と協力して共同作業も農民連に団体加盟する「農の会」(旧称ミチューリン会)の定例研究会と総会が、一月二十四・二十五日の両日、東京都内で開かれました。(写真〈写真はありません〉)一日目は、アジア・アフリカ研究所所員の新藤通弘さんが「キューバの農業」について講演し、つづいて「最近の農業を取り巻く情勢について」東京農工大学助教授の淵野雄二郎さんが講演しました。 二日目は、土作りや健康で丈夫な作物栽培で重要な働きをする「堆肥」をテーマに、考え方や私流の作り方や使い方などを討論。最初に元農業改良普及員で、現在は埼玉農民連春日部支部組合員の佐藤陞(のぼる)さんが、街路樹の剪定枝木などをチップにして堆肥化するプラントを紹介。つづいて長野県会員の石綿薫さんが、堆肥の施用方法によって根張りや生育に大きな違いが出ることを紹介し、「堆肥を養分だけで考えるのではなく、小動物や微生物など土壌の生態系を豊かにし、作物自身の力を引き出すためにも堆肥を活用しよう」と呼びかけました。 参加者からも「堆肥とは何か?」「良い堆肥、悪い堆肥とは?」など率直な疑問が出され、活発に意見を交換。佐藤さんは「堆肥の原料は場所によってバラバラ。米ヌカや街路樹など、ある物の特徴を生かして、微生物の力を借りながら、どう使うかという視点が大切」と述べました。 討論では堆肥中のミネラルの大切さも強調され、肥料会社勤務の会員は「かつて農家が自分で堆肥を作っていた頃は、里山からミネラルの豊かな水が流れてきたり、堆肥原料が調達できたりして、良い堆肥を農地に投入できたのではないか。現代はそのミネラルのサイクルが狂っていて、少し補充してやるとうまくいくのでは」などの意見が出されました。 また「堆肥を発酵させる発酵菌に土着菌を使うか、購入した菌を使うか」といった具体的な技術交換も。さらに「秋田には化成肥料などない時代にも十七俵とったという記録が残っている。そういう技術を掘り起こして増産すれば、家畜飼料も自給できる」「株式会社のような分業化した農業では、循環型の農業はできない」「高齢化、兼業化した今の農家では、個人での堆肥作りは実際には無理。行政が積極的に乗り出して、共同で堆肥を作ることが大切だ」などの意見も出されました。 最後に総会を開き、今後の活動や役員などを話し合い、閉会しました。
(新聞「農民」2004.2.9付)
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[2004年2月]
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