「農民」記事データベース20040209-622-02

農民連が全国農業会議所と懇談

農業委員会制度の改正問題

「見直しは農地を守る視点で」


 農水省は農業委員会の必置基準面積を見直す法改正を、この通常国会に提出しようとしています。こうした中、農民連は一月二十七日、この問題で東京虎ノ門にある全国農業会議所を訪れ、懇談しました。

 農業委員会は、九十ヘクタール以上農地がある市町村に設置が義務付けられていますが、この設置基準の引き上げと、基準面積から市街化区域内農地を除外することなどが検討されています。市街化区域農地を除外し、基準を二倍の百八十ヘクタールに引き上げたと仮定すると、東京ではほとんどの自治体が、大阪でも半数以上が基準以下になり、都市部の農業委員会存立の基盤にかかわる重大問題です。

 この懇談には農民連から笹渡義夫事務局長、山口和男固定資産税・都市農業対策部長(大阪府連書記長)ら六人が参加。全国農業会議所からは農地・構造対策部の柚木茂夫部長と伊藤嘉朗次長が対応しました。

 懇談で、全国農業会議所の柚木部長は、農業委員会法の見直しに「食糧の生産基盤である農地を守る視点で」取り組んでいるとし、農地を守る仕事は市町村任せではなく「国が責任を持つべきだと考えている」と、農業委員会の必置規制を堅持するよう求める立場を明らかにしました。また地方分権で「市町村の裁量権を広げる必要がある」との流れがある中で、国の食料自給目標との整合性などを考えて適切に行われるべきとの姿勢を示しました。

 市街化区域農地を基準面積から除外する問題では「全体の農地を確保する必要があり、慎重に検討すべきでないか」と話しました。

 さらに、農民連から「町村合併で農業委員が減らされると過疎地の農地が管理できなくなる。かりに定数削減されたとしても、補佐する人が必要ではないか」と述べたのに対して、「原則一つだが、農地面積が七千ヘクタール以上であれば、特別に委員会の複数設置が現行法で可能。また、農業委員の協力員は、転用手続きなどできないが、条例で設置している市もある」と応えました。

 懇談では、農地・農業の役割、農業委員会の役割を国民に知らせ、理解を広げる必要性について意見が一致し、耕作放棄農地の管理や学校給食に地場産の農産物を供給する取り組みなど、農業委員会の役割について再確認。農民連から力を合わせていきましようと提案し、懇談を終えました。

(新聞「農民」2004.2.9付)
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2004年2月

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