「農民」記事データベース20040202-621-08

「きくまの民話と伝説」

愛媛県菊間町


鬼の楽園

 うちらの住んどる伊予の菊間はなあ、鬼の楽園ぞい。

 鬼とゆうても、節分の日に出て来る鬼じゃけんどがの。

 どしてかゆうと、ニッポン中どこいいても豆まきの掛声は、

 「福は内、鬼は外。」………と、鬼はきらわれもんときまっとる。

 しゃあけんど、うちらとこの節分の掛声はちょいと違う。それはのおぅ。

「福は内、鬼も内。」ゆうんぞ。おみゃあ、どう思や!

 菊間はなんちゅうても瓦の町じゃけん、鬼瓦もぎょうさんこと作るじゃろう。ほじゃけん、豆をぶつけて鬼を追い出す訳にゃいかん。大事にせないかんのじゃ。

 ほいで誰ともなしに、

「福は内、鬼も内。」とゆうようになったんぞ。

 その内みよってみいや、菊間の町は、どこもかしこも、ニッポン中の鬼が集まって来て、そこいらで鬼ごっこが始まるんじゃなかろか? のおぅ。

(「きくまの民話と伝説」から。話者は部落の人たち)
(四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合)

(新聞「農民」2004.2.2付)
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2004年2月

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