小農切り捨て・交付金ダウン恫喝と尻たたきの「米改革」ブロック説明会農民・自治体と農水省の矛盾鮮明に
遅れに遅れて農水省の地方農政局などを単位とした「米政策改革に関わるブロック説明会」が、一月八日から十九日にかけて八会場で開かれました。どの会場も、農水省の局長クラス、農協中央の政策担当者が出席。その内容は、“恫喝(どうかつ)”と“尻たたき”に終始しました。 北陸ブロック説明会であいさつした農水省の白須敏朗生産局長は、「メキシコとのFTAが結ばれていないせいで日本側は四千億円の工業品の輸出分が損をしている」との日本経団連の主張を持ち出して、「国民の目の見える形で構造改革を進めていく必要がある」とハッパをかけました。 いま、市町村の段階で「ビジョン」作りが始まっていますが、農水省が意図する「中小農家の切り捨て」が受け入れられず、遅々として進んでいません。そういうなかで、自治体や農協の担当者を集めて“ネジをまく”のが、この説明会の目的です。 「何人参加するのか、何回も点検のファクスがきた」と、農協の幹部職員が話す説明会では、「米改革」の危険な本質がいっそう鮮明になりました。 中国四国ブロック説明会で、「米価が上がらず、大きな農家がうまくいかないのは、中小農家、飯米農家のせい」と語ったのは、全国農協中央会の調査役。岡山農民連の坪井貞夫書記長は会場から「『米改革』は、小農の切り捨てか!」とまっ先に追及しました。
担い手決まらず中国四国九県で「ビジョン」作りのとりくみ状況を報告したのは五県だけ。その中でも、「兼業農家ばかりで“担い手”が決まらず、市町村では四苦八苦している。地域協議会の責任者のなり手がいない」といった声があがりましたが、これに対する農水省のまともな回答はありません。 説明会では、転作助成金が減らされることへの不満も数多く出されました。北陸の米どころ、富山県の高岡市では、来年度の助成金が、今年の四分の三に減ります。単協の担当者は、「当初、三千億円を確保したと聞いていたが、現実には二五%のダウン。これを原資に組み立てると非常に厳しく、組合員に理解してもらえない。まして三年後にリセットするとのことだが、これがどうなるか、農家にとって非常に重要だ」と訴えました。 これに対して農水省は、構造改革を進めながらどう地域農業を守っていくか「確かに非常に難しい」と矛盾を認める一方、「国も地方も大きな借金がある。金がこないから生産調整をしないといったらどんなことになるか」と開き直りました。
“地域で考えろ”東北ブロックで会場から質問した宮城農民連の鈴木弥弘事務局長は、ブロックローテーションで転作大豆を作っています。その助成金は十アール当たり六万三千円。しかし「米改革」では、三万八千円に減ってしまいます。 「『米改革』でのメリット対策ではメリットに値しない。これでは、地域の合意形成ができない」と強調する鈴木さん。しかしこれに対しても農水省は「それは地域で考えてもらうしかないですね」と突き放しました。 圧倒的な農民を米づくりから締め出す「米改革」は、農民の抵抗で事実上の破たん状態。地域農業を破壊し、主食の米までも輸入頼みにする「米改革」はキッパリ中止すべきです。
(新聞「農民」2004.2.2付)
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[2004年2月]
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