「農民」記事データベース20031215-615-09

GM稲の開発中止に 岩手

全国的に高まった反対運動 愛知につぐ快挙


全国集会開く 署名40万余

 岩手県が一〇〇%出資している生物工学研究センターが、冷害に強い稲の育成をうたい、今年から野外実験を行なっていた遺伝子組み換え(GM)稲は、岩手県内をはじめ全国的に高まった反対運動によって事実上の開発中止に追い込まれました。

 十一月二十八日、盛岡市で岩手県消団連、生協連、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、農民運など十三団体が主催して「遺伝子組み換え作物はいらない全国集会in岩手」を開催。この日までに全国から集まった四十万七千二百十二筆の「遺伝子組み換え稲の研究・開発中止を求める署名」が会場の壇上に積み上げられました。

 四百五十人を超す参加者は、「米どころ岩手に遺伝子組み換え稲はいらない」「GM米なんか食べない」などのプラカードを掲げて市内をデモ(写真〈写真はありません〉)、署名は県農林水産部に運び込まれました。

 山と積まれた署名簿を前に佐々木正勝農水部長(生物工学研究センター理事長)は、「屋外実験(二年計画の予定)は、安心、安全を求めるみなさんからの強い要望もあり、本年度で取り止め、食品化など開発を中止する」と。さらに、開発中のものを含め今後一切、遺伝子組み換え稲などの野外実験は実施しないこと、生物工学センター予算(年間数億円)も縮小する意向を表明しました。

 遺伝子組み換え稲の開発中止は、昨年十二月、愛知県が多国籍企業モンサント社と共同研究してきた除草剤耐性稲を断念させたのにつづく二回目の勝利です。

 多国籍企業と国家バイオ戦略の後押しで推進している遺伝子組み換え稲の開発中止を勝ち取った原動力はなにか−−。主食の米まで遺伝子組み換えされては大変という、安全な食品を求める消費者の声や、花粉の飛散で種子や環境の汚染に不安を抱く生産者の声を草の根から結集し、「日本の米を守れ」と、学習会や署名活動を展開、わずか二、三カ月で数十万の署名が集まり、開発中止に追い込んだのです。

 これは農業つぶし、国民の生活破壊の攻撃が強まっている中で、草の根からの市民の反対運動が勝ち取った歴史的快挙です。

(塚平広志)

(新聞「農民」2003.12.15付)
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2003年12月

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