「農民」記事データベース20031201-613-12

旬の味


 「凶作の秋日照り」とはよく言ったものだ。夏、天候不良で、もう不作が決定的な秋になってから日照りがいくら続いても遅い! が、今年は不作でも「秋日照り」はない。十月になって少し好天が続いたが、途中から天気が不安定になった▼昔は十一月になると雨が降っても、その夜から強い西風が吹いて翌日には、はぜ掛けの稲は乾いて稲扱きができた。今年は雨ばかり降って、強い西風は吹かない。温暖化のせいか▼二、三日おきに雨が降るので田に水が溜まって秋耕できない。稲わらは乾かない。これではきれいなお正月飾りはできない。ネギの出荷が始まったが、雨天続きで乾かすのに苦労する。「秋が遅れやすな」は、一連の仕事が片付かなくて困るという佐久の挨拶だ▼年下の子らが年長の子に柿をとってくれとせがむ。「柿の木であいと答える小僧かな」(一茶)。「柿の木のとんみねに柿が一つ」(小学校四年の同級生の自由律句)。今ではそんな風景もなくなって、鈴なりの柿は晩秋の空に赤く残る▼天候も味覚も変わったのか。

(節)

(新聞「農民」2003.12.1付)
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2003年12月

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