『きくまの民話と伝説』愛媛県菊間町
芋喰い坊さん(港町)むかーし遍照院にゃあ、瑞映和尚(ずいえいおしょう)ゆうえらあいお坊さんがおったんじゃと。ものすごーく芋の好きなお坊さんでのおぅ、いっつもいっつも芋を食べとったんじゃとい。ようでけたお人でのおぅ、朝も晩も村人のためにいろいろ考えとったそうな。 ある日、 「村に港を作ったらみいなのためになる。」と思い立って、ほして前よりもだいぶこと芋を食べもって「ひいちもん」(日一文)をためたんじゃとい。 港は松笠から遍照院までとすごーく大(おお)けな考えで「これが出来りゃあ村の衆もずいぶんと楽になるじゃろう。」と、せっせと「ひいちもん」をためて、ほいで苦労の末に立派な港がでけた。喜ぶ村のもん……。その陰にゃそがいな坊さんをように思わんやつもおった。 ある日、波止浜におよばれがあってのおぅ、ごっつおうをよばれとる内に、“ポックリ”と死んでしもたんじゃと。最後に食べた大好物の芋の中に毒がはいっとったんじゃそうな。悪もんはどうなったか知らんけんど、それから村のもんは口々に、 「芋喰い坊さん、芋喰い坊さん。」ゆうて今でも語り継がれ、親しまれとるんぞ。 (「きくまの民話と伝説」より)
(四国ブロック編集協力員 大道法幸=愛媛・菊間農民組合、写真は大道法幸さんの撮影〈写真はありません〉)
(新聞「農民」2003.12.1付)
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[2003年12月]
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