「農民」記事データベース20031124-612-05

世界の学校給食写真展(WFP主催)

子どもの目の輝きに食べる喜び、学べる感謝の気持ちを感じて…

日本・市民に理解と協力訴え


 「子どもたちの目の輝きに、食べる喜び、学べることへの感謝の気持ちを感じてほしい」――。国連世界食糧計画(WFP)は、十一月六日から二十九日まで、東京・渋谷の国連大学で「世界の学校給食写真展」を開催しています。六日には、WFP事務局次長のシーラ・シズルさんが来日。オープニングセミナーに参加した市民に、WFPの活動への理解と協力を呼びかけました。

 十年以上続いた内戦がようやく終結したシエラレオネ、西半球でもっとも貧しい国の一つであるハイチ、二〇〇二年に内戦が勃発したコートジボワール…。しかし、給食を食べる子どもたちの笑顔は、日本での光景と変わりません。戦争、貧困、病気など、子どもたちをとりまく状況はけっして明るくありませんが、そうしたイヤなことを一時忘れたかのような、安心感に満ちたほほ笑みをカメラに向けています。

 WFPは二〇〇一年から無償で給食を提供するプログラムを始めました。〇二年は、六十四カ国、千六百万人の児童がそれを受けています。「貧しい国々では、親も子どもも毎日の食べものを得るのに必死です。しかし、学校に行けば満足な食事がとれるとなれば、親も安心して子どもを通わせるでしょう。そうして教育を受けた子どもたちが、新しい国づくりを担うのです」とシズルさん。

 南部アフリカでは、内戦や自然災害とともに、エイズのまん延が貧困と飢餓の大きな要因になっています。生きるために仕方なく売春をする少女に、その危険性を理解させる教育は欠かせません。また、食べるために銃をとる少年兵に、それ以外の生きる道を示すことにもなるといいます。

 現在、飢餓に苦しむ人は八億人、そのうち三億人は子どもです。九六年の世界食糧サミット、二〇〇〇年の国連ミレニアムサミットは、それを二〇一五年までに半減する目標を掲げましたが、達成が危ぶまれています。

 WFPの食糧援助は大別すると三つ。戦争や自然災害から人命を救う食糧(food-for-life)、学校や医療機関で支給する、成長や教育のための食糧(food-for-growth)、農地やインフラ整備の労働の対価としての食糧(food-for-work)で、後者の二つは国・地域の自立を助けるもの。学校給食プログラムもその一環で、食材を地元の農家から購入する試験的なとりくみも始まっています。

 飢餓をなくすために日本ができることは何か――。まずは平和憲法をもつ国として紛争の平和的解決のイニシアチブを発揮すること、食糧自給率を高め、外国の食糧を買いあさるのをやめること、そして経済主権・食糧主権を尊重した援助を行うことが求められます。

(新聞「農民」2003.11.24付)
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2003年11月

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