「農民」記事データベース20031124-612-02

総選挙の結果について

二〇〇三年十一月十日 農民運動全国連合会常任委員会


1、十一月九日に投票された第四十三回衆院選は、与党三党が過半数の議席を確保し、引き続き小泉内閣が政権を継続することになった。

 農民連は、この総選挙で、「農業を国づくりの基本に位置づけ、自給率向上と日本農業を再生する国政への転換」を掲げてたたかったが、農業破壊を進める小泉内閣に対する審判を集中することができなかった。また、自民党と対決して日本農業を再生する政策を掲げてたたかった日本共産党の議席の後退は、きわめて残念である。選挙結果を厳しく受け止め、今後のたたかいに生かしたい。

2、この選挙は、自民党と新民主党が、消費税増税と憲法改正という国政の基本問題でも、FTA(自由貿易協定)など農産物の自由化と農民のリストラ、大企業の農地支配と農業支配をねらいとする「構造改革」などでも同じ立場に合流し、その枠内で「政権選択」を競い合うという、重大な政治的変化のもとでたたかわれた。マスコミの「二大政党」による「政権選択」のキャンペーンも異例の規模で展開された。これを主導したのは、財界・大企業であり、彼らの利益を擁護する政党には政治献金を再開するという方向まで打ち出して露骨な介入が行われた。

3、選挙のさ中に、小泉首相はタイで「農業鎖国は続けられない」「国際競争力に耐えられる構造改革の推進」を公言した。民主党もマニフェストへの追加事項として「FTA」の促進を打ち出した。財界・大企業が工業製品を輸出して大もうけする一方、これと引き換えに、農産物を犠牲にする流れをさらに加速させ、日本農業を破壊しようというものである。今後、WTO交渉をはじめ、メキシコや韓国、東南アジア諸国、オーストラリアなど、相次いでFTA交渉が計画されようとしており、農業の再生と経営の安定を願う圧倒的多数の農民や、食糧自給率の向上と、安全で安定した食糧の確保を願う国民との矛盾は避けられない。

 また、小泉型「農業構造改革」の第一弾である「米改革」も、矛盾が噴き出しており、これからが正念場である。

4、来年七月には参議院選挙が予定されている。農民連は農民の切実な要求の実現に全力をあげるとともに、あらゆる農業破壊の攻撃に反対してたたかうものである。また、輸入の抑制や価格保障など、農政の抜本的転換めざして全力をあげるものである。

(新聞「農民」2003.11.24付)
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2003年11月

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